6. 髪は縛ることにします
「故郷にあった布です。これは古い布を小さく切って髪飾りにしたんです。」
私がそう答えると、アニスさんは頷いて納得してくれた。
よかった。危ない危ない。
気をつけなくちゃ。
深く突っ込まれたら、答えきれない可能性がある。
でも、これを外すにしても、髪をまとめるものが他にないしなぁ。
後でフェラリーデさんに相談しようか。
このシュシュを使っていいなら、それに越したことないんだけど…。
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「外していただいた方が良いでしょうね。」
それが、フェラリーデさんからの答えだった。
まぁ、そうですよね。
ということは、髪留めがいるなぁ。
こっちの髪留めってどんなタイプだろう。
「こちらの髪留めは、男女共にひもや布で縛るのが主流ですね。」
そう言って、フェラリーデさんは自分の三つ編みの先を見せてくれた。
フェラリーデさんって、髪が長いんだよね。しかも美髪。それをゆるく三つ編みにしてたらしてる。
見ればみるほど、濃い緑の髪がツヤツヤと輝いている。
頭に天使の輪がこんなに綺麗に出てるひとって初めて見たかも。
そのフェラリーデさんの美しい三つ編みの先には、革のひもがぐるぐる巻きにされていた。
ベージュ系の革ひもが緑の髪にあってるけど、結び方がなぁ。
もしかして、フェラリーデさんって大雑把なタイプ?
「後は、女性ですと、ピタやローと呼ばれる髪飾りでまとめたりされてます。」
フェラリーデさんが紙に書きながら説明してくれる。
ピタの方は日本で「くちばし」って言われてた髪を挟むタイプ。
ローの方はかんざしだった。
U字型のしっかり止められるタイプだ。
「とりあえず、ひもか布で縛ることにします。」
髪飾りは自分の気に入ったものを後で買いに行きたいしなぁ。
それとも。自分で布買って、シュシュ作る方が良いかな?…て、ことは。
「あの、つかぬ事を伺いますが、こちらにゴムみたいなものはありますか?」
「…ゴムですか?」
私の質問に困惑顔のフェラリーデさん。
やっぱり無いか。ダメもとだったしなぁ。
「あんなもの、どうするんですか?」
…あるんですか?