57.試食タイム2
次は餡子。
ピンクは元の豆が大きいからかこしあんの方が色が引き立ってるし、紫は粒あんの方が餡子っぽくて見た目が綺麗なんだけどなあ。
豆を選んだ時にピンクはあっさりしてて、紫は小豆に近い感じだったんだけど、餡子にしたらどうなんだろう?
ピンクは、まったりした上品な甘みが口に広がる。白あんっぽいなあ。
紫とだと…あ、個人的にはこっちの方が抹茶に合うかな。こっちはやっぱり黒あんみたいな味だ。
やった。
「ん~。上品な甘みだね~。
僕、紫のやつ好きかも~。粒粒が無い方が好みかな~。
でも、どっちも美味しい~。」
「わたくしはこのピンクのこした方が好きですわ。
ですが、ソースとは紫との組み合わせの方が受けそうですわねえ。
粒がいいか、こしたのがいいかは好みが分かれるところですわね。」
メルバさんは上機嫌であっという間に食べてしまい、リビーさんはかき氷をしげしげと観察しながら感想を言ってくれた。
ルドさんはというと、餡子だけ食べてみたり、ソースのかかってる部分と一緒に食べてみたり、氷の部分と一緒に食べてみたりといろいろ試しながら食べているようだった。
「共に食べると、お互いの香りと味が引き立つな。ソースはかけすぎない方が後味がすっきりしそうだ。
だが、暑い時期に出すとなると、隊士たちにはもう少し甘くてもいいかもしれない。」
「そうだね~。炎天下の中動き回るから、お砂糖多めでいいと思うよ~。砂糖は煮込んでも魔素が飛びにくいから補給に向いてるし。」
そっか。ルドさんはここの隊士さん達に出せるかどうか考えてたんだ。
すごい運動量だろうし、普通の味付けでは足りないのかもしれない。補給とか言ってるし。
ってことは、クルビスさんにも物足りないのかな?
濃いめに作りなおした方がいいかなあ。
「ハルカちゃん、こっちのやつも食べていいかな~?」
メルバさんがスイートポテトを指さして聞いてきた。
ああ。忘れてた。
「いいですよ。そっちの方が甘いと思います。」
「いただくね~。」
そう言って、スイートポテトを半分に割って口に入れた。
食べ方が上品。さすがエルフ。
「ん~。餡子より甘いけど、こっちも美味しいよ~。僕、これ好き~。」
お。いい評価もらえた。よかった。
でも、メルバさん甘党みたいだから、他の意見も聞きたいかな。
「では、わたくしも。」
「俺も。」
メルバさんが食べ始めると、かき氷を食べ終えたリビーさんもルドさんも食べ始めた。
いつの間に。確かに手の平に乗るくらい小さい器だけど、私まだ中身残ってるんですが。
慌てて残りを食べて私もスイートポテトに手を伸ばす。
その際、お約束の頭キーンになったのは言うまでもありません。
「あら。確かに甘いですけど、また違ったお味ですのね。」
「ふむ。滑らかで口どけも良い。しっとりしてるな。」
リビーさんとルドさんにも印象は良さそう。
甘さはどうでしょう?
「甘さもこれくらいなら、女性には受けそうですわ。」
「そうだな。男でも、うちの隊士たちなら喜んで食べそうだ。」
「皆、甘いの好きだもんね~。よく動くから~。」
やっぱり、甘いのがいいんだ。
もうちょっと甘めに作りなおした方がいいかな。
抹茶ソースならすぐ出来るし。