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4.米が辛い

「大丈夫ですか?」



 いけない。アニスさんが心配してる。

 味が自分の想像と違うからって、ため息はまずかった。



「だ、大丈夫です。故郷の料理に似てたんですが、味が違ったので驚いてしまって…。」



「どんな風に違うんですか?」



「えっと、その前に質問いいですか?こちらの卵料理って、みんなこんな感じの味なんですか?」



 私の質問にアニスさんは首を横に振った。

 違うんだ。ほっ。



「これはセパの卵です。他の卵の味と違って、あっさりしていて食べやすいので、朝のメニューに良く使われますね。」



 あ、この卵だけなんですね。

 ん?セパ?セパってたしか…。



「セパって…。」



「ええ。ハルカさんが昨日保護されたのはセパのヒナです。」



 ヒヨコもどきの卵だったんだ。

 いや、ヒヨコもどきが生むわけじゃないけど。でも、その卵が豆味なんだな。



 アニスさんの返事に納得して頷くと、今度はスプーンで卵だけすくって食べた。

 すると、口の中にまろやかなやさしい味が広がった。



 豆味だけど、単体では豆乳みたいなまろやかさがあるなぁ。

 さっきはなんで豆ごはんだと思ったんだろう?



 もしかしてと思ってビビットな赤のライスを単体で食べる。

 …別に普通に米だ。塩・胡椒はされてるけど、特に味は…。



「っ。か、辛い。」



「大丈夫ですか?お水です。」



 アニスさんの差し出してくれたお水をごくごく飲んで、やっと一息ついた。

 米が辛いって、なんの冗談?



「大丈夫です。驚いただけです。この赤いのって、辛いんですか?」



「辛く感じますか?」



 ってことは、辛くない方もいらっしゃるということですね?

 調味料でこんな風になってる感じじゃなさそうだけど…。



「ええ。ピリッと刺激があって驚きました。かんでたときは何ともなかったのに。」



「この赤いリギは、クセがあるので単独で食べることはありません。ただ、個体によってそのクセが苦味だったり辛味だったりと違いが出るんです。

 ハルカさんは辛味を感じられましたから、幾つかの食材の辛味を強く感じる傾向にあります。それらは外してもらうようにしますね。」



 はあ~。この赤いお米にそんな特徴が…。

 ここの食材って謎が多いなぁ。



「あの、後でその食材の名前を教えてもらってもいいですか?」



「一通り調べたら、リストにしてお渡しする予定です。ご安心ください。」



 ああ、それはホントに助かる。

 食べ物のことを知らないってホントに怖い。がんばって覚えよう。とりあえず、セパの卵とお米のリギね。



「これは食べても大丈夫なんでしょうか?」



 アレルギー出るとかだったら、嫌なので聞いてみる。

 すると、アニスさんは私にフェラリーデさんのような癒しの微笑みを向けてくれた。



「大丈夫です。辛味を強く感じられただけのようですし、その感じるのにもずいぶん時間がかかりました。それくらいなら、身体に害はありません。

 先程、卵と一緒に食べた時には感じられなかったようですので、卵と共に食べられれば大丈夫だと思いますよ。」



 医療に携わるひとの言葉って、安心するよね。

 普通にオムライスとして食べれば問題ないんんだな。よし。



 その後は、卵と一緒に食べて、豆ごはんな味のオムライスを食べきった。どうも、一緒に食べると豆ごはんの味になるらしい。不思議。

 飽きるかと思ったけど、味が薄めなので食べやすく、最後まで食べるスピードは落ちなかった。



 その後のサラダは、見た目通りのレタスとトマトだった。

 …何だか、さっきの豆ごはんとのギャップがはなはだしい気がする。



 でも、みずみずしいし、野菜の味が濃くてとってもおいしいサラダだった。ちなみに、ドレッシングは昨日の海藻サラダにかかってたのと同じ、すだちのドレッシングだった。

 これも機嫌よく食べきって食後のコーヒーをいただいてると、ノッカーの音が聞こえた。



 カッカッ



 私が返事をしようとすると、アニスさんが手で私を制する。

 私が大人しく黙ると、アニスさんはドアに向かっていった。

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