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37.おしゃべりはオッケー

「話す言葉…ですか?」



 フェラリーデさんが不思議そうにする。

 あれ、そんなにおかしいこと聞いたかな?



「えっと、幾つかの言語があるのは一昨日伺いました。文字の読み書きを覚えるのも。

 でも、言語が違うと発音やしゃべり方も違うと思うのですが。」



 恐る恐る聞いてみる。

 またこっちの常識とかかなぁ。でも、聞かなきゃわからないもんね。



「ああ。そういうことですか。確かに発音や話し方も違いますよ。

 だから、ただ単に話すだけなら通じないでしょう。ハルカさんは一昨日経験されましたよね?」



 え?経験したって…言葉が通じなかったのは最初だけで…それで…。

 そこで頭に一昨日飲んだポム茶が浮かぶ。



(お茶。そうだ。魔素を補給したら言葉が通じだんだ。)



 今度はしっかりと思い出す。

 あの時、フェラリーデさんは言葉にも魔素があってそれを感じとって話をしてるって言ってた。

 ってことは…。



「魔素…ですか。」



「はい。魔素はこの世のあらゆるものに存在します。もちろん言葉にも。

 正確にはある程度の魔素を持った生き物の出す『意志ある声』にですね。だから、獣や赤子などの魔素の弱い、もしくは意味を含まない泣き声などには魔素は含まれません。

 魔素を含んだ意志のある声は意味がそのまま相手に伝わります。だから、使う言葉が違っても意志の疎通自体に問題はないのです。」



 ああ。魔素が自動翻訳機の役割をしてくれてるんですね。

 だから、昨日魔素が補給されたから言葉が通じたって説明されたんだ。納得。



「成る程。自動の翻訳ですね。だから、文字の読み書きを覚えるだけで良いんですね?」



「そうです。ですから、深緑の森というのも私が意味を含ませているからそう聞こえますが、そうですね、名前を聞くつもりで聞いてみてください。」



 名前を聞く?

 とりあえず聞けばいいのかな?



「フェラリード」



「フェラリードですか。」



 フェラリーデさんの名前に似てる…。

 ん?さっきの話の流れからすると。



「聞こえましたか。音だけならフェラリードとなります。ですが、私が意味を含ませると深緑の森と意味の方が強く伝わるのです。」



 あ~。何か分かった気がする。

 あれだ。無料翻訳でやったら意味のわからない言葉はそのまま出ちゃうってのに似てる。



「成る程。ということは、話し手が理解してないと正確に伝わらないんですね?」



 でないと、言葉は単なる音になっちゃう。

 それは困る。



「ええ。そうです。やはり、ハルカさんは理解がお早いですね。

 これがわからず意志疎通で問題が起こることもあるのですよ。」



 あ、それって、テキトーに話すと痛い目を見るってやつですね。

 こっちでは目に見えてわかるんだろうなぁ。



「話す時には気を付けることにします。でも、正直、助かりました。

 幾つかの言語を覚えなくてはいけないと聞いていたので、発音も覚えられるだろうかと心配してたんです。」



 私が安堵して言うと、フェラリーデさんがふわりと微笑む。ああ、優しい笑顔に癒される。

 フェラリーデさんってホントに医療関係に向いてるよね。この安心感半端ないわ。

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