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35.西の温泉

 顔を洗って適当に髪を整え、その後はベッドに腰掛けてルシン君と話をしてた。

 何でも、ルシン君は3兄弟の末っ子で一番上のお兄さんはヘビの一族で守備隊の隊士さんなんだとか。



 二番目のお兄さんは昨日会ったひとでトカゲの一族。

 3人とも…こっちでは3つともなのかな、とにかく、3兄弟全員が銀の魔素持ちで地元では珍しいことで有名らしい。



 どういう風に珍しいのかはよくわからなかったけど、銀色が珍しいのは昨日聞いたから、それが原因かもしれない。

 これもフェラリーデさんに聞いておかなきゃ。



 それで、西の地区に住んでるのは、ヘビの一族が一番多くて暖かいのが西の地区だからだそう。

 ルシン君がまだ小さいから気温の安定した場所に住むことにしたんだって。



 そうっ。その西の地区なんだけど、温泉があるんだってっ。

 といっても西のは小さい物で、大規模な温泉街は南の地区と島にあるんだとか。火山が多いのかな?



 行きたいなぁ。いつか絶対に入るんだ。

 こっちでも温泉は楽しむものみたい。ルシン君が楽しそうに話してくれる。



「西の温泉は小さいんですけど、種類が多いんです。やけどに効くのや肌がきれいになるの、傷に効くのに身体がよく温まるの。あと…。」



 へぇ。

 一か所の温泉地でそんなに種類があるのって初めて聞いたかも。



 しかも美肌になる温泉もあるのかぁ。

 これは是非とも入らなくちゃ。



「いっぱいあるんだね~。そんなに種類が多いのって珍しいんじゃない?」



「はい。何でも、北の山と西の山から流れている温泉の流れが西地区の同じ地点を通って南に流れているんだそうです。だから、複数の効果の温泉が湧くってならいました。」



 はぁ~。2つの山の温泉がねぇ。

 それで、いろんな効能の温泉が出てるんだ。納得。



 あ、それで西は暖かいのか。

 温泉が地下を流れてたら暖かそうだもんなぁ。



「だから、西の方は暖かいんだね。」



「はい。休眠期の寒さもキツくないんです。」



 休眠期…冬かな?

 トカゲさんやヘビさんには冬の寒さはキツイよねぇ。



 暖かい土地は天国だよね。

 まあ、こっちの冬ってそんなに寒くなさそうだけど。クルビスさん雪を知らなかったし。



「そっか~。いつか入ってみたいなぁ。」



「ぜひっ。案内しますよ。」



 ルシン君が嬉しそうに言ってくれる。

 うん。西の温泉にはいつか行ってみよう。







 ******************



 ルシン君としばらく話していると、アニスさんが着替えを持ってきてくれたので、洗面所で着替える。

 そういえば、こっちでは帯の結び目は前に作るものらしい。アニスさんが教えてくれた。



 で、結び目をお花のように結ぶのが流行らしい。

 技術者なんかの作業をするひとや食事を作る仕事のひとなんかは、後ろで結んだり、結び目を作らず巻いた帯の中に入れ込むみたい。



 あ、守備隊の隊士さんたちも中に入れ込むんだって。アニスさんが見せてくれた。

 昨日みたいに乱闘を止める時につかまれたら危ないもんね。



 今日の恰好はコーラルピンクのワンピースに黄緑色の帯で春らしい色合いだ。

 地球でも桜の季節だったけど、こっちでも春なんだなぁ。



 ピンクはあまり似合わないからちょっとって思ったけど、良く見るとオレンジ入ってるし肌馴染みの良い色だったから、思い切って着てみた。

 これなら大丈夫だと思う。クルビスさんに見せれたらいいけど。



(忙しそうだもんね。昨日も無理してくれたんじゃないかなぁ。)



 彼は隊長さんだ。大勢を指揮し導くひと。そして街のひとを守るひとだ。

 仕事に対する責任もその重さも私なんかと段違い。



 それがわかるから、「仕事と私とどっちが大事」なんて言う女にだけはならない。絶対。

 偶然でも会えたら、そのチャンスを最大限楽しもう。



 で、思考が逸れたけど、今はルシン君と一緒に朝ごはんを食べてます。

 今日の朝食はクリームシチューに焼き立ての平たいパン。



 具は…どぎつい赤のジャガイモに濃い緑の玉ねぎ、後、色とりどりの豆が入っていた。

 食欲はそそるかな。うん。



 で、パンはホットケーキみたいな味だった。

 蜂蜜を付けて食べるらしい。平たい形といい、まさしくホットケーキ。



 2つとも美味しくいただきました。ごちそうさま。

 ルシン君はさらにステーキみたいなお肉の塊をほいほい口に運んでいた。



 朝からあんなに重たいものが入るんだなぁ。

 さすが成長期。それとも、ここではこれくらいが普通なのかな?



 感心してる間にルシン君のお皿は綺麗に空になった。

 お見事。ぱちぱちぱち。



 思わず内心拍手していると、ふわりといい香りがした。あ、ほうじ茶だ。

 香りのする方に顔を向けると、フェラリーデさんが光り輝く笑顔でお茶を差し出していた。



 ごほっ。

 内心吐血しつつ、何とか笑顔でお茶を受け取る。



 いやもう、ホント勘弁して下さい。

 美形の笑顔は朝から刺激が強すぎるんですって。

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