26.ドラゴンは生まれにくい
「ああ。大抵、両親のどちらかがドラゴンの一族だと生まれやすい。
だが、ルシンの家族のように、大叔母だけというのはしばらくドラゴンが生まれていなかったということだ。その中でルシンが生まれたのはかなり珍しい例だな。」
クルビスさんの説明にルシン君が頷いている。
そっか…。お父さんかお母さんにドラゴンがいないと生まれにくいんだ。
「僕が生まれた時は大騒ぎだったそうです。大叔母や他の同族が里から下りてきて、盛大に祝ってくれたとか。」
ルシン君が嬉しそうに話してくれる。
大叔母さんに可愛がられてるんだろうなぁ。ルシン君いい子だし。
「ドラゴンの一族は生まれにくいからな。一族をあげての祝いは盛大なものだ。」
あ、ドラゴンって生まれにくいんですね。
そっかぁ。やっぱりここでもドラゴンって希少種なんだなぁ。
「ドラゴンの一族って他の一族より少ないんですか?」
「…そうだな。寿命が長い分数が減りにくいから…シーリード族の中では1割くらいはいたと思う。
だが、生まれる数も少ないからな。少ない方にはいるだろう。」
クルビスさんが首を捻りながら言う。
普段意識したことなかったんだろうなぁ。ルシン君も考え込んじゃってるよ。
確か、メルバさんがドラゴンは10000年くらい生きるって言ってたけど、それだけ寿命があれば多少生まれにくくても問題なさそうだなぁ。
ひいおばあちゃんとかいても余裕で会えるよね。
「そうなんですか…。じゃあ、トカゲの一族は?」
私の質問にクルビスさんがきょとんとした顔してる。
そんなに意外な質問でしたか?
「クルビスさんはトカゲの一族なんですよね?」
私が重ねて言うと、慌てたように頷いた。
何でだろう?いきなり過ぎたかなぁ。
「…ああ。よく覚えてたな。」
あれ?メルバさんに教えてもらったんだけど、この感じだとクルビスさんからも教えてもらってる?
いつだろう…。たぶん昨日だろうけど、いろいろあったからなぁ。
「ええ。まあ。」
こういう時は笑って誤魔化せ。
あいまいに返事をすると、クルビスさんはしばらく考え込んでから答えてくれた。
「そうだな…。シーリード族の中では、ヘビの一族とトカゲの一族が1番多い。どちらがとは言いづらいんだが…。」
シーリード族って尻尾と鱗がある種族でしたっけ。
ヘビも入るんだ。…そりゃそっか。
(ヘビにトカゲかぁ。どっちも多そうな感じ…。)
生まれにくいイメージはないなぁ。
クルビスさんの話に頷きつつ、沢山のトカゲさんとヘビさんを想像する。
…ちょっと怖いかも。
いやいや。クルビスさんの姿が大丈夫なんだから、ヘビさんも大丈夫なはず。
たぶん。
(ヒト型…だよね?)
「ヘビの一族…ですか。」
「ああ。昨日地下で会ったシードがそうだ。」
クルビスさんの補足に、昨日あったひとたちを思い出していく。
えっと地下、地下…あ、副隊長さん。