24.おはようございます
「…なら――まだ知らせて――ないんだな?」
「…はい――ルシェリード様の――預かりに――とだけ伝えるそうです。」
――何か話し声が聞こえる…。
良く聞こえないけど、この声はクルビスさんかな?相手は…。
「なら――――ハルカ?」
「ん…。」
「お姉さんごめんなさい。起こしちゃいましたか?」
声のする方を向くと、クルビスさんとルシン君が向かい合って座っていた。
ああ。さっきの話し声はクルビスさんとルシン君かぁ。どうりで知った声だと思った。
「ん~ん。今ちょうど起きたところだから大丈夫。今何時くらい?」
「なんじ?」
え?なんかルシン君の聞き方が言葉がわかりませんって感じ…。あ。そうだった。
こっちでは時間の感覚は一緒でも、単位が違うんだった。
「え。あ…。そっか単位…。」
「――先程、昼の4刻を過ぎたところだ。まだ日も高い。ハルカが寝てたのは1刻ほどだな。」
あ。そうそう。「こく」が「時」にあたるんだっけ。
じゃあ、今は夕方の4時かぁ。そんなに遅くないな。
「そうそう。『こく』でした。もっと寝てたかと思いましたけど、それ程じゃなかったんですね。」
でも、1時間寝てたって…その前も気絶してたんだよね?
今夜寝れるかなぁ。
「ああ。気分はどうだ?良く寝ていたが…。」
気分…。爽快っていうのかな?身体もすっごく軽い。
こんなに気分のいい目覚めは珍しいかも。
「すごくいいです。身体も軽くて、こんなに気分がいい目覚めは久しぶりです。」
「よかったですね。お姉さん。倒れたって聞いて心配しました。」
あ、そういえばルシン君が治療手伝ってくれたんだっけ。
そのせいで疲れて寝てたんだよね。お礼言わなきゃ。
「あ。そうだ。ルシン君も治療手伝ってくれたんだってね。ありがとう。」
胸に手を当ててお礼を言うと、ルシン君が目を細めて笑った。
う~ん。まだこの爬虫類っぽい顔で笑われるのには慣れないなぁ。
(クルビスさんは平気なんだけどなぁ。何でだろ…。)
「あはは。そんなのいいですよ。お姉さんだってぼくを助けてくれたでしょう?」
助けた?ルシン君を?
…昨日のことかな?
「昨日のこと?」
「はい。お姉さんがぼくを見付けてくれなかったら、まだあのまま崖下にいたかもしれません。」
そんなことないと思うけど…。
違うと言おうとすると、クルビスさんが頷いているのが目に入った。
あれ。クルビスさんもそう思ってるんですか?