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別話 西地区1(フェラリーデ視点)

「ようこそおいで下さいました。ビルム殿。」



 転移陣から出てきた同族に声をかけます。

 ワースの話を聞いてから、急ぎ西の同族に連絡を取り周辺の探査をお願いしたところ、幾つかの家や工房で子供がいなくなっていました。



 幸い、早いうちに周辺の技術者たちで連携を取ったことと、探査の特異な同族がいたおかげで子供たちは見つけることが出来ました。

 しかし、どの子供も寒さによる症状が重く、守備隊の医務局に運び込まれたそうです。



 その話はすぐさま中央に報告され、各地区で警備の強化と子供たちの安全確認を行うことになりました。

 長がこちらに滞在されることもあって、しばらくは北地区の医務局が治療の中心になるようです。



「いえ。お世話をかけます。…長はどちらに?西の状況をご報告したい。」



「長は…。」



 今はハルカさんとワースについているはずですね。

 ビルム殿と言えば、一族の中でも長老に次ぐ年長者の1つでヒト嫌いで通っているお方。会わせるわけにはいきません。



「今、患者を見ておられます。もうしばらくすれば戻られますゆえ、先にお話をうかがってもよろしいでしょうか。」



「そうですか。長はお変わりないようですね。」



 席を勧めながら長の不在の理由を述べると、ビルム殿は苦笑しながら席につかれました。

 長が治療の前線に立つことはよくあることですので、ビルム殿も疑いはしなかったようです。



「…西はどうですか。子供たちが運ばれたと聞きました。」



「ええ。治療術士を総動員したおかげで、何とか回復はしています。ですが、幼い子も多く、予断を許さない状況です。」



 手遅れにはなりませんでしたか。それだけでも行幸でしょう。

 幼い子供には使えない治療も多いですから目は離せないでしょうが、時間をかければ回復はするでしょう。



「そうですか…。個立ちの患者は?重症者は出ましたか?」



「いいえ。地熱のおかげか、こちらではそれほど被害は多くありませんでした。問題は子供たちの件くらいです。」



 ああ。西は山から地中に流れる地熱のおかげで暖かいのでしたね。

 休眠期もそれほど冷え込まないため、ヘビの一族が好んで住んでいるようです。



「そうですか。こちらは個立ちの被害が多く報告されてます。軽傷の者が多かったのですが、保護者があまり動けないため、子供の被害の確認にずいぶん時間がかかりました。

 幸い、子供たちには被害が少なく、治療も一通り行えました。」



「北は冷えますからね。…そういえば、陽球を解放して詰め所で治療を行ったと聞きました。

 とても良い考えですね。これなら、軽傷の者が治療所に詰めかける数が減りますし、同時に多くの者を治療出来ます。」



 もうその話が耳に入っているのですか。住民の間でウワサになっているのかもしれませんね。

 キィの話では、高価な備品を一斉に使ったことに非難もあったそうですが、中央でも(おおむ)ね好意的に受け入れられたようです。



 急激な気温の低下による症状は時間との勝負ですからね。

 方法に構ってはいられません。

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