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116.クッキー茶

 私が秘かにダメージを受けてると、隠し扉が開いて、人数分のカップと丸いポットが乗ったカートが運ばれてきた。

 運んできたのはリビさんだ。あれ。茶店って壁と反対の木の扉の方向だよね?



 いつ移動してたんだろう…。

 アニスさんとシードさんはギョッとしてるけど、メラさんは当たり前みたいに「来たか。」って嬉しそうに言うだけだ。



「店はいいのか?リビ?」



「ええ。もうすぐ噴水が開かれますから。しばらくはお客様はいらっしゃいません。」



「そうか。今日は噴水の日か。通りで数が多いと思った。」



 リビさんがいつ移動したとかはスルーなんですね。わかりました。

 でも、お店を空けれるくらいお客が来ないって、そんなに皆が噴水を見に行くの?たしかに混んでたけど…。



 でも、メラさんも納得してるし、噴水を見れる日って特別なんだろうな。

 人混みは大変そうだけど、1回くらいは見たいかも。



 リビさんは優雅な手つきでお茶を淹れると、1礼をして戻って行った。

 リビさんすごいなあ。何してても上品で優雅だ。



 あの古い湯沸しポットみたいに、上からギュッと押して中身を出すタイプのポットで、よくあんなに優雅に出来るなあ。

 まあ、猫の手がポットの上に置いてあることのどの辺に優雅さがあるんだって言われても困るけど、私だったら、もっと力が入って身体が傾いちゃいそうなんだよね。



 でも、フェラリーデさんがポム茶を淹れてくれた時も綺麗な動作だったしなあ。案外使いやすいのかもしれない。

 あのまん丸くて上にしか取っ手がついてないポットは持ちにくそうだと思ったけど。



「いい香りですね。」



 異世界のポットに興味はつきないけど、目の前に差し出されたお茶にも興味がわく。

 クッキーというお茶は焼き菓子みたいに香ばしい香りのお茶だった。



 甘いって聞いてたけど、そんなに甘い香りじゃない。

 色は聞いてた通り、ミントグリーンをさらにミルキーにした色だった。



「香ばしい香りです。」



「甘いといえば甘いですかね?これくらいなら俺もいけます。」



 アニスさんとシードさんにも好評みたいだ。

 早速ひと口いただく。あ。紅茶だ。



「美味しい…。」



「口あって良かった。少し変わった味なんだが、私はこれが好きでね。蜜は好きなだけたらしてくれ。」



 メラさんはそう言って先が細長くとがったミルクピッチャーみたいな入れ物を勧めてくれる。

 これに蜜が入ってるのか。じゃあ、ちょっとだけ入れてみようかな。



「ありがとうございます。」



 お礼を言って、蜜を少しだけ入れながら気分はウキウキしていた。

 こっちにも紅茶ってあったんだなあ。



 クッキー茶っていうから、どんなに甘ったるいお茶かと思ったけど、とんでもない。

 味は深みがあって、そう、アッサムに近いと思う。



 ウーロン茶みたいなお茶があったくらいだから、紅茶みたいなお茶もあるかなって思ってたけど、こんなにすぐに出会えるなんて。

 嬉しいなあ。私、紅茶好きなんだよね。



 まあ、好きって言ってもアッサムとダージリンとアールグレイくらいしかわからないんだけどね。

 アッサムはあー兄ちゃん、ダージリンは私とお母さん、アールグレイは妹が好きだったから、この3種類に関してだけ、家にはいろいろなお店の紅茶が置いてあった。



「美味いですね。今度このお茶買おうかな。」



「ホントに。香りが香ばしいのに味がしっかりしています。」



 シードさんとアニスさんにも好評みたいだ。

 私も次はこのお茶を買おうかな。

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