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113.親子の不思議

「まあ、立ちっぱなしもなんだ。座ろうか。」



 メラさんの一言で席に着く。

 ジルベールさんの所でお茶を飲んだ時みたいに、メラさんと相対するように私が座り、私の右にアニスさん、左にシードさんが座った。



「さて。何が飲みたい?ここはルシェモモでも飛び切り品揃えが良い。大抵の茶が飲める。」



 お茶を聞かれても…最初に飲んだポム茶か、寝る前に飲むリコのお茶か、ジルベールさんの所でいただいたビビ茶くらいしか名前知らないんだよねえ。聞いてないから。

 今度からお茶の名前はしっかり聞いとこう。



「えっと。こちらのお茶には詳しくないので、よくわからないです。」



 こんなことで見栄を張っても仕方ない。

 素直にわからないって言った方がおすすめしてくれると思う。



「ああ。貴女は来たばかりだから。なら、リビの茶店にいたのはアニスの買い物か?」



「あ。いえ。それは私です。ジルベールさんのところでビビ茶をいただいたんですが、とても美味しくて、お土産と自分用に買いました。」



「…ジルベール?」



 え?あ。ジジさんって言わないとわからないかな。

 アニスさんもシードさんも「ジジ」の方で読んでたし。



「…名乗りをしたのかっ?あのジジ様がっ?」



 メラさんが前のめりになって聞いてくる。何事ですか。

 驚いて引き腰になりつつも、頷いて本当だと知らせる。



 ウソじゃないですよ?

 アニスさんもシードさんも頷いてくれた。ありがとうございます。



「…そうか。ああ。外では『ジジ』と呼んでおくといい。『ジルベール』はジジ様だけに向かって呼ぶ方がいい。」



 通称は「ジジ」の方で、ジルベールさん本人には「ジルベール」って呼んでいいってことですね。

 何か決まりがあるんだろうな。教えてもらえて助かった。



「はい。教えて下さってありがとうございます。」



 教えてくれたことに感謝を示しつつ了解したと告げると、メラさんはすっかり落ち着いて、ふわりと微笑んだ。

 その目の細めかたが何というか…クルビスさんと重なる。



(うわ~。やっぱり似てるなあ。親子だもんね。ルシェリードさんとも似てるし。)



 当たり前といえば当たり前のことに感動してしまう。

 親と子が異種族なんてはじめは驚いたけど、結構似てるもんなんだなあ。



 印象は全然違うのに。不思議な感じだ。



 メラさんが太陽とすれば、クルビスさんは月だ。

 どちらも空で輝くものだけど、印象がまったく違う。そんな感じ。



 クルビスさんは黒一色というので目立ちはするけど、圧倒的なオーラを放ってるわけじゃない。

 どちらかというと、優しい包み込むような雰囲気を持っている。



 対して、メラさんは一言で言えば「鮮烈」。

 夜を固めたような姿なのに、ルシェリードさんゆずりの他人を圧倒するオーラに、華やかな雰囲気。そのギャップで強烈に印象に残る。



(でも、優しく笑うところはそっくり…。)



「クルビスさんと似てる…。」



「おや。それは珍しいことを言われた。どちらかというと、夫に似てると言われるんだがな。」



 あ。口に出してた。メラさん笑ってるし。恥ずかしいなあ。

 でも、クルビスさんってお父様似なんだな。ちょっと会ってみたいかも。


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