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112.お母様とお茶

「は。初めまして。ハルカと申します。クルビスさんにはいつもお世話になっています。」



「メラだ。父に聞いた通り、可愛らしい方だ。」



 お父さん?

 あ。ルシェリードさんか。



 言われてみれば、迫力のあるオーラが似てると思う。

 ルシェリードさんといえば、今日の買い物はルシェリードさんのおかげなんだっけ。



「そんな…。あ。ルシェリードさんには後見にまでなっていただいて、おかげ様で今日は買い物にも出れました。大変感謝しています。」



 話の流れになっちゃったけど、ルシェリードさんへの感謝も述べる。

 男役のようにかっこいいメラさん相手にどきどきするけど、言うべきことは言わないといけない。



 クルビスさんもルシェリードさんも私にとっては大恩人だ。

 どれだけ感謝してもし足りない。



「それは良かった。父にも伝えておくよ。…もう少しお話がしたいな。よければ、お茶などいかがだろうか?」



「私でよければ、是非。どこかに移動しますか?」



 即座に了承の返事をする。

 お腹は一杯だったけど、断るなんて選択肢は考えなかった。



 好きなひとのお母様ってだけで緊張するけど、ルシェリードさんが私の後見である以上、メラさんとはこれからもお付き合いがあるだろう。

 交流を深めておくに越したことはないと思う。…やっぱり緊張するけど。



「そうだな。リビ。個室は空いているか?」



「はい。今日は誰も使いません。」



 個室?

 え。この店で個室ってあるの?



 リビさんのお店は半球状のお店としては一番小さいサイズだと思う。

 直径が3mくらい。カウンターもある分、この人数だと狭いくらいだ。



 そんなお店のどこに個室があるんだろうか。

 不思議に思っていると、リビさんがカウンターの私から見て左の棚に触れた。



 カシンッ



 固い音と共に、木製の棚の側面がドアのように開いた。

 中は狭いけど1人ずつなら通れそうな通路だった。



(ええええっ。また隠されてるの?何?こっちでは家具に仕掛けをしないといけない決まりでもあるの?)



「どうぞ。後程、ご注文を伺いに参ります。」



「ああ。お願いする。」



 開いた通路を呆然と見ていると、リビさんとやり取りをしたメラさんが先に入っていく。

 その後にアニスさんが続き、シードさんに背中を押されて私も入った。



 通路の中は壁と同じ素材で右に曲がっていた。建物が半球だからだろうな。

 ジジさんのお店と違って、今度はすぐにドアにたどり着く。壁の左側に木のドアがある。



(…これじゃあ、外に出ちゃうんじゃないの?)



 疑問に思いつつもアニスさんに続いてドアをくぐる。

 中には真っ直ぐの通路があった。



 天井が丸いアーチ型の通路だ。明かりも窓も無いのに暗くない。

 そのまま通路を進むと、すぐに木のドアにぶつかった。ずいぶん近いんだなあ。



 そのドアもくぐると、リビさんのお店と同じような大きさの半球状の建物に入った。

 リビさんのお店みたいに、スペースは3分の1くらいしかなく、カウンターと同じくらいの位置に真っ直ぐな壁があった。



 中にはテーブルとイスが数脚あるだけだ。

 これが個室かあ。確かにここの方がゆっくり話しが出来そう。



「ここもリビの店なんだ。裏に喫茶を開いていて、茶店とつなげてある。」



 メラさんがきょろきょろしてる私に説明してくれる。

 わわっ。恥ずかしい。きょろきょろしてるとこ見られちゃった。



「そうなんですか。じゃあ、さっきの通路は…。」



「茶店から入る裏ルートだ。内緒だぞ。よっぽどの常連しか知らないんだ。」



 メラさんがウインクしながら人差し指を口もとにあてて言う。

 …男役のような美形がやると心臓に悪いんでやめて下さい。



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