110.ビビ茶購入
冬の童話2015に参加します。
「筋肉村の筋肉姫」です。よければ読んでやって下さい。
…とと。その前に、確認しておきたいことがある。
お土産って、どれくらいの量が相場なんだろう。
「そうですね…ちょっと待ってもらえますか?アニスさん。お土産ってどれくらいの量がいいんでしょう?」
わからないので、アニスさんに聞く。
やり過ぎて気を遣わせても仕方ない。
「そうですね。このお茶だと袋1つで3つから5つくらいですね。」
「ありがとうございます。シードさん。…クルビスさんとリードさんってお茶がお好きですか?」
今度はシードさんに聞く。
メルバさんにって思ったけど、クルビスさんやフェラリーデさんにも買いたいんだよね。
「2つとも好きだぜ。いろいろ飲んでるが、クルビスもリードもビビ茶は好きだな。」
的確な答えをありがとうございます。何だか面白がられてるみたいだけど、それはまあいいや。
それなら、クルビスさんとフェラリーデさんにも買っていこう。
「ありがとうございます。えっと、お待たせしました。注文していいですか?」
「はい。」
「まず、お土産用にさじ5つのお茶を袋で3つ用意してもらえますか?私用にはさじ3つでお願いします。」
「かしこまりました。ご自身の茶袋はお持ちですか?」
茶袋?
調味袋みたいなものかな?まあ、持ってないんだけど。
「ルシェモモに来たばかりで持っていないんです。こちらで買えますか?」
「はい。ございます。そちらに並んでいるのが見本でございます。お土産用はこちらでご用意いたしますので、お客様のお好きなものをお選びください。」
黒猫さんの示した方にはチェストがあり、銀色をした調味袋とよく似た形の袋が幾つか置いてあった。
黒猫さんに会釈をしてチェストに向かう。
茶袋は銀色だけど、パールっぽい光沢を放っていた。
一番小さいサイズを手に取ってみるけど、変わった質感だ。
表面は曇りガラスのような感じで、つるつるしていない。
結構厚みがあって、皮の調味袋よりしっかりした感じだ。
大きさは、底が私の手の平サイズからふた抱えはあるものまで5種類くらいあった。
サイズが1つ大きくなるごとに、底の直径が倍になっているみたいだ。
まあ、この場合、無難に一番小さいサイズだよね。
「作りは調味袋に似ていますよ。1番小さいのが個別で持つ茶袋ですね。これでさじ5つは十分入ります。それ以上は家族用か業務用になります。」
私がしげしげと観察していると、アニスさんが解説してくれた。
ありがとうございます。これで1番小さいサイズに決定です。
「一番小さい大きさにします。」
カウンターに戻って言うと、黒猫さんは「かしこましました。」と優雅に礼をして、カウンターから新しい茶袋を取り出した。
手には小さい手袋をはめている。…肉球で引っかけてるんじゃないんだ。
「では、こちらがお土産用3つで、そちらがお客様の茶袋になります。」
お土産用には青いリボンがかかっていた。
これなら間違えそうにないし、お土産って感じがする。
「以上でさじ18ですので、お代は36いただきます。」
黒猫さんが差し出した紫の箱にカードを置いて会計終了。
…今度、実物のお金でも買い物してみよう。便利過ぎて買い過ぎる気がする。
(市場でもカード使えたもんなあ。こっちではカードで買い物って当たり前なのかな?)
その辺の認識も後でアニスさんに確認しておこう。
今日の買い物で気付いたことって多いなあ。覚えてられるかな?
「ありがとうございました。ご挨拶が遅れましたが、わたくしはリビと申します。よろしくお願いいたします。」
黒猫さんから茶袋を受け取ると、優雅な仕草で名乗ってくれた。
慌ててこちらも名乗り返す。
「ハルカです。お茶が好きなので、また寄らせてもらいます。」
すっかりこの店が気に入ったので、次も来ると言った。
静かだし、雰囲気もリビさんも素敵な店だ。
今度、クルビスさんと来たいな。
それで、一緒に飲むお茶を選ぶんだ。
これより少し前の守備隊では…
「ふむ。飽きた。少し外に出てくる。」
母が勝手に来ておいて、勝手なことを言っている。
まあ、中央代表として治療部隊の話合いにも出席したみたいだし、仕事はしてるみたいだが。
目的はハルカに会うことだからな。
ハルカがいない以上ここにいる意味もないんだろう。
このまま帰ってくれないだろうか。
俺の願いを他所に、母は勝手に話を進めている。
「そうだ。茶が切れていたんだ。久しぶりにリビの店に寄ってみるか。」
ああ。確か親父がここにいた時によく行っていた茶店だな。
ジジ様も気に入っていて、よい茶葉が揃うと評判だ。
茶店に行くなら平和になる。
ハルカと鉢合わせなくて済みそうだしな。
ハルカが帰ってきたら、とにかく先に母のことを話さなくては。
先走ってどんなことを吹き込まれるかわかったもんじゃない。
なんてことがあったりして…。
次回、お母様来襲。