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109.黒猫の茶店

 *******************



「…おし。ここが茶店だ。他にはなさそうだから、ジジ(ばあ)の言ってた店はここだろう。」



 ジルベールさんの花屋さんを出てから、ものすごい人混みをかき分けて、何とか茶店にたどり着いた。

 シードさんが盾になってくれなかったら、たどり着けなかったかも…。



 シードさんに感謝しつつ、ジルベールさんに紹介されたお店を見る。

 不思議な作りの店だ。他の店みたいにバックドアのような入口を開けているのに、中にはまた木のドアがある。



「いらっしゃいませ。」



 店内に入ると、涼しい空気とともに静かな声が迎えてくれた。

 しかし、店内に声の主の姿は見えない。どこから声が?



「ビビ茶はあるかい?茎だけのやつがいいんだが。」



「ございます。今朝入ったばかりなのですよ。」



 シードさんが声をかけると、店のカウンターの上に1匹の黒い猫が姿を現した。

 黒猫さんはトットットッと軽い足取りでカウンタ-を移動する。2本脚で。



 良く見ると、服も来ていた。黒のノースリーブに黒のゆったりした長いズボン。靴は履いてない。

 全部黒だからわからなかった。あ。尻尾は白だ。まあでも、黒猫さんでいいかな。



 黒猫さんは、私から向かって右側の棚に行き、一番奥の壺を取り出してきた。

 …どうやって持ってるんだろう?肉球で引っ付けてるとか?いや。謎はそこじゃない。



(声の主はこの黒猫さんだ。うわー。さすが異世界。猫もしゃべるし、2本脚で歩くんだ。)



 そういえば、猫そっくりな種族の話があったなあと、記憶をひっぱり出しつつ黒猫さんを見守る。

 今日はいろんな種族のひとに会う日のようだ。



「こちらが特級のビビ茶になります。お味見はされますか?」



 静かで落ち着いた低めの声だ。

 服装からしても男性だと思う。仕草も優雅で素敵だ。



「どうする?さっきジジ婆のところで飲んできたけど。」



「ああっ。ジジ様のご紹介でしたか。でしたら、こちらの方がよろしいでしょうか?」



 そう言うと、黒猫さんはカウンタの中から別の壺を取り出してきた。

 これもお茶みたいだけど、何か違うの?



「こちらもビビ茶の特級ですが、茎の加工が少し違います。

 香りに差はありませんが、こちらの方が口当たりがまろやかだと、ジジ様はこちらを気に入っておられます。」



 へえ。口当たりが。

 それならまろやかな方がいいかな。さっき飲ませてもらったお茶は美味しかったし。



「なら、そちらをいただけますか?おいくらでしょうか?」



「どちらも、特級はさじ1つにつき2でございます。おいくつご用意いたしましょうか?」



 2かあ。中々のお値段。

 さじは大さじくらいの大きさで、コの字型の深さのあるものだった。



(大さじ1つで200円…。まあ、ジジさんの淹れ方見てたら、ウーロン茶みたいに少しの葉でいいみたいだし、そこまで高くはないかな。)



 お茶は値段が香りに反映される。

 実家もお茶の葉は1袋2000円の中々良いお茶を使っていた。



 母のこだわりだけど、そのおかげでうちの兄妹は全員がお茶好きだ。

 だから、私も気に入ったお茶には妥協はしないことにしている。どんと買いましょう。

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