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101.ヒナの名前

「あ。あの。今、セパって。」



「ん?ハルカ嫌いだったか?」



「まだ、食べられたことは無いはずですが…。」



 ええ。食べたことありません。さすがアニスさん。

 って、いやいやいや。そうでなく。



「いえ。あの。セパって…食べるんですか?」



「ああ。食うぜ?…あ~。ハルカはヒナを拾ったんだったな。安心していいぜ。野生のセパは力もあるし、丈夫だからな。あのヒナは荷を引いたりする運搬用になる。食用のセパとは違う。」



 あの子は食用にはならないんだ。ホッ。

 でも、食用もあるんですね。種類が違うのかな?



「食用と運搬用があるんですね。」



「セパは環境の変化に強いし、魔素に従順だからな。飼育しやすいんだ。あちこちで飼われてるぜ。」



 へえ。飼育しやすいんだ。

 あの子を見る限りそうは思えないんだけど…。常にエラそうにするし。



「運搬用は名づけられてるから、すぐわかる。名前を彫ったプレートを身につけるしな。」



 名前…。あの子の名前って誰がつけるんだろう?

 昨日の時点では、ルシェリードさんは何も言ってなかった。



「名前ですか…。昨日の朝は何も言われませんでした。まだ決まっていないんでしょうか。」



「そりゃ、ハルカとクルビスで決めることだろ?」



 私のつぶやきに、何を当たり前のことをという顔でシードさんが答える。

 え?私とクルビスさんで名づけていいんですか?



「私とクルビスさんで、ですか?」



「親だと思ってるんだろ?なら、ハルカとクルビスがつけないと納得しないと思うぜ。」



「そうなんですか…。」



 名前かあ。名前。何がいいだろう?

 私、ネーミングセンスないんだよね。



(大きくなるって聞いてるから、チビとかポチとかは良くないだろうし。…色はどうだろう?)



「セパって、大きくなったら体色は何色なんですか?」



「…色なあ。何でもあるよな?」



 シードさんがアニスさんに確認する。

 何でもですか?



「ええ。セパは育った環境で色が違いますから、一概に何色とは言えません。小さいころは青でも、大きくなったら緑なんてこともよくありますよ。」



 え~。色もダメかあ。

 じゃあ、何がいいだろ。



(もうクルビスさんにまかせちゃおうかな。)



 思い付きがだめになったので、投げやりな気持ちになる。

 だって、どんな姿になるかわからない上に、色もわからないじゃあ決め手がない。



「じゃあ、色もだめですね。」



「名前か?それなら、自分の色を付ける場合もあるぜ?」



 自分の色…。黒だよね?

 黒ならクルビスさんもそうだから、いいかもしれない。



「なら…『ネロ』ですね。黒って意味なんですけど。」



「かわいい名前ですね。」



「いいんじゃねえか?あのチビ、黒になりそうだしな。」



「黒にですか?」



「ああ。クルビスとハルカの魔素で回復したんだろ?そんで、今もクルビスんとこにいるしな。一番影響受けてんだろ。」



 あ。そっか。あの子、今、クルビスさんと一緒にいるんだっけ。

 昨日、寝床を用意したのにクルビスさんから離れなくて、結局、もう少し大きくなるまでクルビスさんが面倒を見ることになったんだよね。



 私では魔素の扱いに不安があるから、クルビスさんにおまかせすることになったんだけど…。

 あの子、迷惑かけてないかなあ。小さいからか、何にでも興味を示すみたいだし。



 何だか心配になってきた。

 帰ったら様子を聞きに行こうかな。




その頃の北の守備隊本部では…。



「ピギィッ。」



「こら。やめろ。書類を落とすな。つつくな。あ。こらっ。食うなっ。」



「ピグッ。モグッ。」



「~っっ。くそっ。檻にでも入れてやろうかっ。」



…なんてことがあったりして。

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