表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/137

100.早めのお昼ご飯

「移動しようぜ。店締めの混乱に巻き込まれちまう。」



「そうですね。ハルカさん。花屋に行って髪飾りを見ましょうか。」



 あ。髪飾り見たい。

 頭に巻く布も欲しいし。



「先に食事の方がいいわよ。今日はここの噴水が開く日だから。」



 次の行き先を決めたところで、ヘビのお姉さんから待ったがかかる。

 噴水が開く日…。何か特別なことなの?



「あーっ。しまった。そういやそうだったな。」



「そういえば。今日でした。」



 シードさんとアニスさんが『しまった』という顔をしている。

 何か特別な日なんですね。



「ハルカ。チョイ早いが、先に昼でいいか?

 ここの噴水は作りが凝っててな。名物になってるんだ。

 見物客が押し寄せるから、席が無くなっちまう。」



 ああ。遊園地なんかである、凝った作りの、水の出方が変わってるやつですね?

 成る程。見物客が集まる程なら、お店も一杯になるか。



「そういうことなら、先にお昼にしましょう。」



「いやー。すっかり忘れてたぜ。ありがとなキーパー。」



「ふふ。そうじゃないかと思ったのよ。言って良かったわ。

 さあ。片付けが本格的になる前に出た方が良いわよ。」



 ありがたい忠告に従うことにする。

 お姉さんに会釈をして、市場の中を戻っていくと、あちこちで片づけをしていた。



 感心したのは、商品を並べていた木の台が荷車だったこと。

 良く見ると地面からちょっと浮いていて、下から車輪がのぞいていた。



 木の台の四隅から棒を引き揚げ、棒の間に板を差し込んで紐で縛れば荷車の完成だ。

 はたから見たら、でっかい木の箱を押しているようにしか見えないけど、結構な量の荷物が運べそうだ。



 テントは運動会の後片付けよろしく、ポールはポール、テントの布は布といったように一か所に固められている。

 皆さん、動作に迷いが無い。きっちり決められているんだ。



「ハルカ。もうチョイ急げるか?」



 感心していると、シードさんが後ろから声をかけてくる。

 周りを見てたせいで足が遅れたかな?



「はいっ。」



 返事をして、足を急がせる。

 アニスさんも速度を上げて、駆け足寸前の速度で市場を出た。



「っと。やっぱ数が増えてんな。」



 確かに周りの人混みが酷くなってる。

 思うように速度が出せないので、歩くスピードは元に戻った。



「お昼は何を食べたいですか?」



 アニスさんが聞いてくれる。

 何をって聞かれても、知らないからなあ。



「ここの名物料理を食べてみたいんですけど。」



「ああ。なら、ウィシュカの店がいいんじゃねえか?」



「そうですね。ハルカさん。黄色いきのこのところです。すぐそこですよ。」



 アニスさんに手を引かれてたどり着いたお店は、彼女の言った通り黄色いキノコのパラソルが並ぶお店だった。

 大きなお店だけど、席はまばらに埋まっている。



(まだ10時半だもんなあ。食べられるかな?)



 朝が早い分、お昼が早いのにも慣れてきたけど、さっきわらびもちを食べたばかりだ。

 あまり入らないかもしれない。



「今なら空いてるな。奥の席だ。アニス。」



「はい。」



 アニスさんに手を引かれてお店に入って左奥の席に座る。

 奥の方が涼しいなあ。だから奥に座るのかな?



「早速、注文するか。名物っていうと、この辺だな。」



 シードさんが見せてくれたのはメニュー表だった。

 まだ字は読めないけど、簡単なイラストも載ってるからわかりやすい。



 ステーキにパスタ、チャーハンに…何だろこれ。

 四角いパンみたいなんだけど、半分にわかれた中に具が一杯詰まってる絵が描かれている。肉まん?



「ルシェモモ名物っていっても、北地区の名物だけどな。地区ごとに名物が違うんだ。

 この辺は、大半が深緑の森の一族が伝えたレシピが元になってる。」



 ああ。どうりで見慣れたものが描かれていると。

 エルフが元なら、あー兄ちゃんが元ネタなのがあるだろう。



 それなら、どれでも食べやすそうだ。

 材料さえ考えなければ。



「1つ分はどれくらいの量なんでしょう?」



「数の分だけまとめて大皿で来ますから、食べれる分だけ取ればいいですよ。シード副隊長もいますし。」



「そうだぜ。なんなら、名物のやつ端から持ってきてもらって、食べ比べてみるか?俺ならこれ全部でも完食出来る。」



 入るんだ。シードさんって結構細身だと思うんだけど、どこに入るんだろう。

 でも、食べれるだけ食べていいならありがたい。シードさんの提案に乗らせてもらおう。



「それなら、いろいろ食べ比べてみたいです。」



「よし。じゃあ、注文するか。」



 シードさんはそう言うと、テーブルの真ん中にある黄色い石に手を置いて、メニューを読み上げる。

 テーブルが黄色っぽい木製だから、石があるのに気付かなかった。え。これで注文出来ちゃうの?



「んで、セパのステーキな。焼き加減はしっかり目でよろしく。以上だ。」



 …セパのステーキ?セパ?セパって…。

 えええっ。ヒヨコもどき食べちゃうのっ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=279034186&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ