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92.お茶うけはゼリー

 服に合わせてレースのテラも買った。

 銀色の糸を使った幅広のレースだ。



 銀色が衣装に華を添えてくれる。

 デートに十分使えそうだ。



 模様は何とさくらんぼ。

 会計に行ったときにお祖父さんが横から差し出してくれたんだけど、思わず「さくらんぼだ。」と言ってしまった。



 またお祖父さんにジイッっと見られたけど、「故郷の木の実に似てます。」って笑って誤魔化した。

 まあ、ウソじゃないしね。バレないと思う。



「ありがとうございました~。またのお越しをお待ちしています。」



 トモミさんの軽やかな声に見送られて通りに出る。

 結構歩いたから、そろそろ休憩したいなあ。



「お茶にでもしましょうか。歩き詰めでしたし。」



「そうだな。ここからならミリーの店が近いだろ。」



 アニスさんの先導で通りをまた進んでいく。

 この辺りになると道が広くなり、カフェのような食堂のような店が増えていた。



 周りに良い匂いが立ち込めているし、店の外にテーブルやイスが出ている。

 陽射しを遮るテント屋根が張ってあったり、でっかいパラソルのような…キノコ?のようなものが置かれていたりしている。



 アニスさんは紫のキノコ型パラソルの置いてある店に近づいて行く。

 店先には私みたいに頭に布を巻いた女性が結構座っていた。ホントに流行ってるんだな。



 店の奥にある席を取ると、シードさんが飲み物を取りに行ってくれた。

 スタバっぽいな。自分で注文して、専用のカウンターで受け取るシステムらしい。



(合理的と言えば合理的かな。)



 妙なところに感心しつつも、今まで見てきたお店で店員さんらしきひとをほとんど見てないことに気付く。どこも1人か2人だった。

 もしかしたら、こっちでは接客はそれほど重要視されてないのかもしれない。



 だとしたら、アルバイト先も少なそうだ。

 どんな職があるのか、フェラリーデさんに聞いておこう。



「お待ちどう。」



 そんなことを考えると、シードさんがお盆を片手に戻ってきた。

 その上には木のコップと白っぽい半透明なものが乗っている。



「ありがとうございます。」



 私の前にコップを置いてくれたシードさんにお礼を言うと、「これくらい当然さ。」と返された。

 さりげないセリフがカッコイイ。さすが副隊長。



 一緒に乗せられた半透明なものは、テーブルに置かれた瞬間プルンッと震えた。

 …ゼリーですか?これ?



「やっぱり暑いときはゼリーですね。」



 アニスさんが弾んだ声で言う。

 あ。やっぱりゼリーなんだ。味はどうか知らないけど。

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