9. これってあり?(4)
(いいじゃない。死にたいって言ってるんだから、死なせてあげたら)
そう言ったのは白だ。
これまた4日ぶりに会う白は、やっぱりイケメンだった。
(あ、シロ)
(シロ?)
思わず、白にシロと言ってしまって、白に疑問形で返事をされた。
(シロとはなんだ)
じろりと睨む視線がゾクッとする。
(シロって、白い服着てるから、シロ)
(私は犬ではない!)
そんなの、見れば分かる。
(だって、名前知らないもん)
(教えてやろう▽¶※●☆#з$△だ)
(……なんで、シロがここにいるの?)
(聞いてたか!? 私は!)
(うるさいよ、シロ!)
完全に、私の中ではシロになってしまった白服は、プライドを傷つけられたのか、そっぽを向いてしまった。その横で、笑いを堪えているデス。かなり楽しそうだ。
(あ、この間の賭け。あれは、オレが勝ったんだった。まだ、もらってないぞ)
彼女を助けろと切迫していたデスが、シロの出現で思いだしたらしく、私が自殺しようとしたときの賭けのことを言い出した。
(あぁ、あれか。この少女が死んだら渡すよ)
そう言うと、シロがニヤリとした。
その顔を見て、なんだかムカつく私。
(彼女はまだ死ぬような時を迎えていない!)
(関係ないね、死にたいって言うんだから、それで十分だろ)
二人の言い合いを聞いてるうちに、どうしても彼女を助けたくなってきた。かなり面倒だけど、死んでもかまわない的な考え方が気に入らない。そして、なによりもデスに偉そうな口をきくシロが気に入らない。
そこで私は彼女に手を差し伸べた。
「だったら、私と友達になろうよ」
「え?」
「ラインのID交換しよう」
彼女は驚いたように私を見たけど、そんなのいつものことだ。相手の反応を見て躊躇してたら友達の輪なんて広がらない、というのが私の持論なんだ。
だから、さらにつっこんでいった。
「私、あずみ。あなたはなんていうの?」
「あ……。明子」
「同じ“あ行”じゃない! 奇遇だね~」
奇遇だろうがなんだろうが、この際どうでもいいのだ。相手と共感できるようなこじ付けで、煙に巻く作戦だ。
「え……えぇ」
「ね、友達になろうよ。まずは一人から、そしたら私の友達も紹介して、そしたらどんどん友達の輪が広がるよ。友達の友達はみな友達。友達の彼氏はみな彼氏。ね!」
なにが「ね!」なのか分からないが、ノリだよ、ノリ!