23. 死神とプロポーズ
この数日間、ずっと悶々としてる。
だって、なんで上から目線で『付き合ってやろう』とか、『キスしてやろう』とか言われないとならない?
変でしょ!
もう、どうやってやり返してやろうかって、ずっと考えてるけど、結局何も思いつかなくて。でも、もとを正せば私のこの能力が原因なわけだよ。
ならば、こんな力は使わなければいい。
使わなければ、デスの言うようには行かないじゃない。
手伝えって言われても、実体から出ないぞって決めれば、出られないわけだから……多分。
そう! そうに決まってる!
そう考えると、やっぱり私ってすごい! と思う。
と、考えていたときグッドタイミングでデスが現れた。
相変わらず、クールな眼差しで私を見つめて、一言
(行くぞ)
って……。泣けるよね~。
(行かない)
私も負けてない。
もう、絶対にこの体から抜けないと決めたんだ。
(なぜ行かない? お前の望みを叶えてやろうと言っただろう)
(望みってねぇ。あんなの望みなんかじゃない! 大体、疲れてるのにあんたの言うこと聞いて助けに行ったのに。私がどうしたいかも聞かずに、パッと消えちゃうってどうよ!)
(……)
(私は疲れてるの! 連日、あんたに引っ張りまわされて!)
(ここ数日はこなかったんだが)
(ここ数日のことなんて言ってない!)
(そうか、そんなにこの間のことは、文句があるのか? そんなに、不満だったのか……)
デスが真剣に私を見て、考えてる。
その姿もまたステキだったりする。
(ならば……オレの嫁になるか?)
(えーーーー!)
付き合ってもいないのに、今度は嫁ってなに?
どうしてそうなる?
(ふざけないでよ!)
真剣に睨んだよ。
さすがに、プロポーズをこんな簡単にされたくないじゃない。
(オレは真面目だ)
そう言ったかと思ったら、急に手を引っ張って引き寄せられた。
そして、とろけるような甘いキス。
死神とキスするなんて、始めてなんだけど。
死神でも唇は柔らかくて、温かいんだ……。しかも、がっしりした腕に抱かれたら、女の子なら誰でもとろけるって。
(オレの妻となり、自殺しようとしている人を一緒に助けよう)
え、それって、結局うまい具合に手伝わされるだけじゃない?
なんか、デスに抱きしめられて、甘い気分になってるけど、死神と結婚するってことじゃない?
親になんて言う?
いや、その前に相手が人間じゃないんだから。
もう、私の頭はぐるぐると回りだしてる。