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21. 望みを叶えて欲しいから頑張った(1)

 あれから、デスが現れると自殺志願者を助けるという、かなり面倒くさい状況が発生している。



 そりゃさ、イケメンだし、かなりいい感じに私のハートを掴んでるのは認めるけどね。


 でも、現れる度に、自殺を止めろと言われてもねぇ。真面目に困る。


 しかも疲れるわけだよ。


 おかげで、授業中だって眠くて、保健室に逃げ込むことが多くなった。


 入院していた事実があるから、先生も文句は言わないけどね。


 それにしても、本当に疲れるー。



(おい、文句を言ってないで起きろ)



 今日も保健室で寝ている私に向かって、デスが言う。



(冗談! 眠くてしょうがないから保健室に逃げ込んだのに、これで起きたら結局疲れたままじゃない。他を当ってよ)


(体から抜け出ることができる人間は、そうそうおらぬ)


(おらぬかろうと、どうだろうと知らないから!)


(いいから、起きろ!)



 そう言って私の手を引っ張ると、簡単に体から私自身が抜けていく。どんなに嫌だと思ってしがみついても、ずるずると引っ張られる感じ。


 結局、体から抜け出して保健室の窓をすり抜けて、今いる場所は空中。


 全く参るわ。



(体から抜け出ることができるというのは、大変便利なことだし、都合がいいんだ)



 勝手なことを言っている。



(散々遊んで、あっちこっち行ったから、もういいよ。この力は、もういらないから)



 真面目にいらないと思ってる。だって、こんな力があるからデスにいいように使われるんだから。



(お前も面倒なヤツだな。今こうしている間にも、人が一人死のうとしてるんだぞ。行くぞ!)


(もう、ボランティアなんて真っ平だよ! 眠くてしょうがないんだから。ボランティアして人一人を助けるくらいなら、私は自分を助けてあげたいよ)


(しょうがないヤツだな。……分かった、報酬をやろう。お前が今死のうとしている人を助けたら、お前の望みを叶えてやろう)


(私の望みを叶えてくれるの? マジで? そうかぁ、そうだよね。死神って言っても神だし、それなりに何らかの力はあるわけだから。うん、私の望みね。何にしようかなぁ)


(では、ゆくぞ)


(はいよ~。サッサと終わらせて、望みを叶えてもらおうっと)



 と言うことで、デスについて飛ぶことひとっ飛びで、自殺志願者のもとへと行った。



「で? ターゲットはどこに?」


「その部屋だ」



 言われて、マンションの一室を覗いてみると、昼間だというのにたくさんの睡眠薬を目の前にしてうなだれている女性が一人。



「眠いだけじゃない?」


「お前は真面目にバカなのか? それとも、考えることを放棄しているのか?」


「失礼だね。バカじゃないし、考えることもちゃんとできるわよ」



 ただ、眠いだけならこれで解決じゃない。


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