18. 夜の散歩(4)
サル以下だとデスに言われて、心の中で叫んだ。
どうも、心の声が聞こえているようで、デスがおかしそうにクックックと笑っている。
「今日の仕事は終りなの?」
二人のやり取りを聞いてても面白くないので、自分の質問を投げかけてみた。
だって、普通に考えて、人間なら誰もが家に帰ってお風呂に入って、のんびりしている頃だ。
きっと、死神だって変わらないはずだと思ったんだ。
「今日?」
シロのヤツが『今日』を強調してきた。
何でそこ?
「人間にとっては確かに一日だろうけどね。神である俺たちの一日は、人間の10年に相当するのさ」
はぁ……。
え?
ん?
ほあ?
10年で1日?
てことは、デスとかシロとかって、一体何歳なのよ!
「さぁ。かなり生きてることは確かだね」
シロがどんなもんだと言いたげに私を見たけど、そのドヤ顔が気に入らない!
「だからね、仕事が終わることはないんだよ。それに、人が亡くなるのは人間界で言う、夜とか朝方の方が多いんだよ」
今度はデスが諭すように教えてくれたけど、なんかさ、妙に優しいのも気に入らない。だって、デスはもっと凛々しくなくちゃ!
「ふ~ん。夜が稼ぎ時ってことか」
だから、つい嫌味な言い方しちゃった。
「おっと! 交通事故だ。オレはいくよ」
「あぁ、頑張れよ」
急にシロが消えた。
今まで、夜空で立ち話をしていたのに、どこで何が起ったのか、急に察知して消えちゃうんだから。本当にやりづらい。
「交通事故?」
「うん、助からないだろうね。可哀相に。30代の男性だ」
そう言うと、デスが眉を寄せた。
やっぱり、死神やめたほうが良くない?
「デスは優しいね」
「……」
デスがじっと私を見つめてきた。
キャー! マジ、どぎまぎじゃん!
「おい! 手伝え!」
急に私の手を掴んだかと思ったら、風のように走り出した。
「な、何よ!」
いくら、どうしたのかと聞いても叫んでも、こうなると何も聞こえなくなるのか、何も言わない答えない。
しょうがない、親に怒られるわけでもないし、何があるのかちょっとは気になるから、ついて行く事にした。