14. イメージしたらできること(2)
よく、アニメなんかじゃ、いるはずのない相手に恋しちゃうってあるけど、まさか~。
まさか~……、まさか~……。
(何を真っ赤になってるんだ? 熱でもあるのか?)
そうか、これは熱……って、そんな分けない。
とにかく、ここは冷静になろう。1・2・3……ほら、冷静になれた……はず。
目のまえにいるのは、神は神でも死神なんだ。いくらイケメンでも、死神に恋するなんて、あり得ない! あり得ちゃいけない!
私は冷静さを装って、ゲームに目を向けながら言った。
いや、思った。心で話したという方が正解かも。
(今日は何の用?)
間が抜けてるかもしれないけど、こんなことぐらいしか言葉が見つからないんだからしょうがない。
(悩んでいるようだから来てやった)
来てやったとか、何様?
(別に悩んでなんかいないけど)
(どうやったら幽体離脱ができるのかと、必死に考えていただろう)
(なんで分かるのよ)
(さぁ、なんでかな)
そばにいたのなら、考えを読まれることもあるだろうけど、全く姿を現さなかったくせに、あたかもずっと見てました的な発言!
なんか憎たらしい。
(だから教えてやろうと、忙しいがでてきてやった)
いらないよ!
いくらデスでも、ここまで上から目線は許せない!
(なんだ、不要だったか? ならば、消えるか)
(ちょい! せっかく出てきたんだから、聞いてあげるわよ!)
デスはクックックと笑うと、横目で私を見た。
私はゲーム機をベッドに置くと、上半身を起こしていた。
悔しいけど、実際できるようになりたいし、できたらいろいろとやってみたいことがあるんだ。ここは、下手にでてあげるわよ。
(負けず嫌い)
(……で、どうしたらいいの?)
(さっきも言っただろ。イメージするんだ。自分が、体から出て行くような)
体から出て行くようにイメージする。
たったそれだけで幽体離脱が可能だと?
そんな簡単にできるなら、誰も苦労はしない。
でも、やってみないと結果が出ないから、とりあえずイメージしてみた。
目をつぶって、自分の体からもう一人の自分が出て行くってイメージ。イメージするのは簡単だけど、こんなことで出られるならね~。
……………。
(どうだい。できただろ)
デスの、笑いを含んだような声に、私は自分を見た。見たといっても、見下ろしたといった方がいいだろう。
だって、ベッドにいる自分が丸々見えてるんだもん。
と言うことは、今ここにいる私は?
(だから、イメージするんだっていっただろ)
おおーーーーー!
私は嬉しさと不思議さで、体に足を入れてみた。すると、あらよあらよと言う間に、体に戻ってしまった。そして、またイメージする。すると、イメージどおりに体から抜け出るのだ。
(すごいー!)
(おめでとう。うまくできるように頑張れよ)
そういうと、デスはパッと消えてしまった。
消えたデスを追いかけたかったけど、離脱した幽体をどうコントロールしたらいいのか分からないから、どうしようもない。
とりあえず、今は自分の思い通りに出たり入ったりできることが楽しいから、デスのことは後で考えよう。ということで、私は何度も出たり入ったりを繰り返すのだった。