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1. 自殺志願(1)

よろしければ、コメントくださいね~。感想をもらえると、作者は踊って喜びますヾ(@^▽^@)ノ ワーイ

 小さな頃、おばあちゃんが言った。



「死んだら損! 死んだら、何も楽しいことなんてない。美味しい物だって、食べることができなくなるんだからね。死んだら損だよ」



 ずっと、その言葉を聞いて育ってきた。



 でも、そのおばあちゃんが死んでしまった。


 風邪を引き、咳が止まらなくなって、病院へ行ったきり帰ってこなかった。


 大好きなおばあちゃんを次に見たのは、冷たく硬くなった体だった。



「おばあちゃん、死んだら損なのに、何で死んだの?」




~1.自殺願望




 高校生になった私は屋上にいる。


 この手すりを乗り越えれば、おばあちゃんのところにいけるんだ。



 そう、つまりは自殺しようと思ってる。



 どうして?

 


 だって、こんなつまらない世界には飽き飽きなんだ。


 頑張って高校に入ったけど、勉強なんてつまらないし。彼氏はできたけど、すぐに別れちゃったし、友達と遊んでもどこかで覚めてる。

 


 おばあちゃんが『死んだら損だ』と言ってたけど、言ってたおばあちゃん自身死んじゃったじゃない。


 そりゃぁ、寿命だったんだから仕方ないけど。


 でも、こんな世界にいるよりも、きっと死んだ方が幸せなんだ。


 死んだら、全てが終りになる。


 嫌なことも、悲しいことも、寂しいことも辛いことも、何も無くなるんだ。


 それって、どんなに幸せだと思う?


 

 風が私の髪を躍らせる。


 さぁ、今だ、飛べ!


 そう言っているように感じる。



 面倒くさいこの世とお別れするにはもってこいの天気だ。


 校庭では、体操着を着た生徒たちが走ってる。


 私のクラスは……今頃は、フケてる生徒が多数いるはずだ。だって、自習なんだもん。


 先生が休みなんだってさ。


 自習だと生徒がフケる。フケる生徒を見つけると先生は怒る。


 だったら、他の先生が変わりに教えればいいと思うんだけどね。


 そうも行かないらしい。



 となれば、仲間どうしで教室を抜け出して、適当に宜しくやるって、当たり前じゃない?


 

 で、私?


 

 適当に屋上に来たわけよ。


 

 別にイジメとかじゃない。


 失恋に泣いちゃって、人生を儚んでるわけでもない。


 思春期特有の、考え込んじゃって、生きてる意味が分からないとかってことでもない。


 じゃぁ、何だって思うよね。


 実際わかんないよ。


 何だろう?


 なんだか分かんないけど、死んだら楽かなって思う。



 そうだな~。



 意味をちゃんと考えるというか、こじつけるなら。


 家に帰るのが面倒……かな。


 だって、うちの母親ってヤツが、鬼なんだもん。


 帰ると、勉強しろとか手伝えとか、早く寝ろとかってうるさい。


 よく耐えてると思う。私って偉い。


 ちなみに、弟も耐えてるし、お父さんも耐えてる。うちの家族って、マジ偉い。



 じゃあ、お母さんがいなかったら良いのか?


 そうじゃないよね、いないとご飯作る人がいなくなるから。



 結局、うるさい親だけど、いないと困る。


 だから、いなくてもこれといって誰も困らない私を消そうかなって。


 さて、いい風が吹いてきたし……飛ぶかな。



 私は手すりに手をかけた。


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