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夢を見た。


あの日のことが夢に出てきた。


でも、ナギサがいた。


ナギサが戦う私をかばおうとして。


それから………………―――――――――。




―――――――――――――――――


――――――――――――――――

―――――――――



はっとして目を開ける。

体が非常に重い。だけど、周りを見渡せば、すべての状況を理解することができた。


――――誘拐。


ちょうどこの言葉が当てはまっているだろう。


どうやら私はハゲを殴った後すべての力が抜けて気絶してしまったみたいだ。

頭がガンガンと悲鳴を上げて痛い。

片手で頭を軽く抑えながら隣に寝ているナギサを見る。


汗はもう乾いてしまっているが、でも、やっぱり苦しそうだ。

この子だけは無事に返さなくてはいけない。


ふと両手を見るときつく縛られていて、切るのも難しそうだった。


でも、脚だけは縛られていなくて。


あぁそうか。


彼らは私たちが目を覚ましたら犯そうとしているのか。


だから脚を…。


そう思ったらまた頭痛がしてきた。


はあ、と思いため息をつけば。

「…ん・・・?」


隣から聞こえてきた声。

起きるかな。


「…ナギサ…?」

「…っ?…ハカネ、ちゃ…私…」

「いーい?ナギサ、私たちは…――――」


冒頭に戻る。


私たちは、完璧にらしされてしまっている。


そう彼女に言えばなんとなくわかっていたのか、「そっか・・・」と悲しげに瞳を揺らすだけだった。

結構この子は肝は据わってるのかもしれない。

まぁ、その方が好都合だ。

「こわい」とか「助けてよ!」とか喚いてもらったら彼らに気づかれてしまうし、現状を理解できなくて説明するのも面倒だ。

とりあえず、彼女を脱出させるにはどうすればいいか。


そんなこと、決まってる。



「ナギサ、今からここを出るわよ」

「でも…そう簡単に…」

「行くに決まってるわ、私がいる。ナギサを置いて逃げるような弱い女じゃない」

真剣に、ナギサの純粋な目をみていえば、彼女は大きくうなづいてくれた。そして、安心の微笑みをくれた。「ありがとう」と。


「それじゃあ、とりあえず私が敵を相手する。そのうちにあなたは逃げなさい」

「…え、でも、そしたら…ハカネちゃんが…」

「馬鹿ね、人一人くらい先に逃がして次に自分が逃げることくらいできるわよ。私を甘く見ないで」

意地悪くそういうと、彼女は少しだけ不安の色を消した。それでもなお、やはり不安そうな彼女。

心配性だなぁ、とつくづく思う。


「さて、そろそろ男たちが来るわ。あなたは逃げる準備でもしときなさい」

「わかった…」


まだ気乗りしないのだろうか。

でも、それは危ない。


気乗りしないということは本気で逃げようとしてない、そういうことだ。


「ナギサ」


自分でも冷たい声だと思った。


「私のことはいいから、さっさと逃げるのよ」


そして、残酷なことだと思った。


「私がそこで命を落としても、あなたは走るの」


心配性な彼女には。


「走りきるんだよ!?」


怒鳴り声で男のひとりが様子見に私たちのいる部屋を覗いた、その瞬間。








―――――――――パサリ。









乾いた音がやけに響いた。










「ナギサっ、逃げて!!」


突っ込む私、一瞬遅れて私についていくナギサ。


目を見開く様子見の男。





私の手を縛っていたロープは、私がもともといた場所に落ちていた。




バキッという鈍い音とともに自分の拳に痛みが走る。

男は宙を飛び、2メートルくらい先に吹っ飛んで行った。

横目でナギサを見る。


全速力で出口へと向かっていた。


それを阻止しようとする男たち。


その男たちにひとりひとり蹴りや拳を入れる私。


「邪魔するなぁぁっ!!」


私の大声によって男たちの気合のスイッチが入った。



一斉に向かってくる男たち。

ナギサが出口を見つけ、出ていく。

それをみて、私は男たちを交わしながら自分も出口に手をかける。


「オゥラァ!!!」

「クソガキィ!」


ドンッという鈍い音が背中越しに聞こえる。それと同時に、激痛が走った。


ああ、これって金属バットかな。


殴られたのかな。


―――――でももう、遅いよ。



回し蹴りで殴った男に仕返しをする。


もう、いい。


私は出れなくてもいい。


こいつらを…





「―――――潰すから」





冷ややかな声。

自分のものなんだと、頭の隅で考えていた。

こ、怖いな…ちょっと…。


とりあえず、怒りました、ハカネちゃん。

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