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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

もう一度

掲載日:2026/03/14

ねぇ、覚えてる?

一年目の記念日。

私のほうが浮かれてたよね、たぶん。

いや多分じゃないか……

前の週から「どこ行く?」って何回も聞いて、ケーキ屋さんも調べて、当日はちょっとだけいい服着ようとか考えてさ。

ああ、そうだ。

この話の元はLINEだったね。

「今日、仕事で遅くなる。」

遅くなるって書いてあるのに、私の頭の中では勝手に会えないに変換してた。

なんでだろうね。

たったそれだけの違いなのに。

スマホ伏せて、天井見て、思いっきり落ち込んで。

楽しみにしてた自分が急にバカみたいに思えて。

お腹も空いてたし、コンビニでカップ麺買ったんだ。

レストランもキャンセルしてさ。

お湯を注いで三分。

待ってる間に、どんどん腹立ってきた。

仕事なら仕方ないって言えばいいのに、なんで私ばっかり楽しみにしてたんだろうって。

私より仕事が大切なのかな?とか。

今思うとめんどくさい女だったな。

多分電話、かけた。

「記念日くらい空けられないの?」って。

あんた、ちょっと黙ってから言ったよね。

「違う、今日は───」

そこで切ったの、私。

言い訳だと思った。

どうせ埋め合わせするからとか言うんでしょって。

なんでずっと過ごしてたのに気付かなかったんだろう。

あんたの性格考えたら分かるのに。

カップ麺の湯気が、やけに目にしみたんだよね。

泣いてたのか、湯気のせいか、分かんなかったけど。

ねぇ。

あのとき、あと五秒待てばよかったのかな。

数時間後に鳴った知らない番号。

声のトーンで出た瞬間に分かったよ。

病院の名前を聞いたとき、やっと気付いたんだ。

電話の向こうの雑音。

クラクションみたいな音。

電話、早く切っとけば良かったな。

いや、しなければ良かったのか。

私、ちゃんと聞いてなかった。

廊下はやけに明るくて、足音だけがやたら響いて。

「間に合いませんでした」って言われても、意味が追いつかなかった。

ねぇ、あの時はまだ寝てたんだよね?

私の声、届いてたよね?

ポケットから出てきた小さな箱。

箱、ちょっとだけ潰れててさ。

遅くなるの意味、そこでやっと分かった。

もっと早く気付けてたらなぁ。

私が怒鳴ってた時間、あんたはそれ、持ってたんだよね。

ねぇ。

最後まで聞かなかったことも、勝手に勘違いしたことも、ひとりで拗ねてたことも。

あんな、くっだらない言いがかりの事も。

全部全部全部全部全部、謝るからさ。

帰ってきてよ。

連。

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