6. 全属性
仮設の詰め所に戻ると、リアスはサリーン男爵に洋服を借りて着替えた。靴はロビンに借りたようだ。
「ローブありがとう。」
椅子に座っていると、ポンとローブを上からかけられた。さっきは極限の状態だったとは言え、リアスに好きだと言って、キスをして、呪いが解けて。ただでさえ、少年姿から青年の姿になった彼を見るだけでドキドキしてしまう。これからどういう距離感で彼に接していけばいいのか。
リアスは隣に座ると、平然と動力源の鑑定結果を他のメンバーに話し始めた。
「魔獣の間はおそらく囮だ。動力源のある部屋は、どこにもつながっていない。だから、今日開けた大穴から入るしかないだろう。」
「それで動力源を止める方法は……。」
サリーン男爵が地図に新しく動力源のある部屋を書き込みながら、聞いた。
「あれはそのまま破壊しようとすると、エネルギーが爆発してそれこそ"死の太陽"並みの惨劇が起こる。」
「では、どうすれば?」
「停止するしかない。停止には、全ての属性の魔法を同時にあの球体に流す必要がある。」
ここで、皆の属性を確認した。リアスは炎、風、雷、サリーン男爵は水、風、ロビンは土、助手のオロフは水。
「私は、全属性すべて使えます。あと氷と炎の精霊を召喚できます。」
「ぜ、全属性!初めて聞きました。今度、論文を書かせてもらってもいいですか?」
ロビンが食いついてきた。
「俺が許可をしない。そもそもお前は呪いの専門家だろ。」
「そ、そんなぁ~。」
「私語は慎め。じゃあロビンは土、テオドルは風、あとオロフは……水を頼む。」
サリーン男爵が先ほどの地図の余白に役割分担も書き込んでいく。リアスがこちらを見て言った。
「じゃあ、俺が炎龍をだして、雷魔法を使う。エディット、君は氷を頼む。」
「分かりました。」
「動力源が止まれば、魔獣の召喚は止まる。そうしたら、あとは搬出だけだ。全て王都の研究所に運ぶぞ。」
「はい。」
みんな真剣に作戦を考えているのに、ロビンだけはニコニコこちらを見ている。
「うわぁ、初々しいですね。お似合いです。」
「お前は黙れって、言っているのが分からないのか。」
「え、所長、僕がこの解呪の立役者だってこと忘れてません?はじめ所長が好きな人なんていないっていうから。慌てて婚約者探しの釣書を国中からかき集めてー。でもどれもしっくりこないってわがまま言うから、僕陛下の命を受けて、所長に自白薬まで飲ませて。」
「じ、自白薬!?」
それって、犯罪者に使う薬じゃないのか。驚いて目を見開いた。
「そうなんですよ~。それで、エディット・ユングリング嬢が好きだって、彼女以外考えられないって言うんで、調べてみたら、まさかのフィーラ帝国第一皇子の婚約者で、あの時は陛下と一緒に落胆しました……。」
「お前、地獄の業火に焼かれたいのか?」
「ええ!どうして?金一封ものの功績ですよ。これ。」
サリーン男爵が大きく咳ばらいをして、ようやく静かになったが、ロビンは納得いかないという表情だ。リアスが私以外考えられないって自白したと聞いて、私の心臓はまた大きく脈打った。




