5. 条件
「――リアス、呪いが解けたの?!体は大丈夫?」
「ああ。解けた同時に一気に回復魔法をかけたから、もう平気だ。」
聞きたいこと、やらなくちゃいけないことが、いっぱいあるはずなのに。気づいたら、抱きついていた。
「――よかった。本当に。」
涙が溢れ出して、止まらない。リアスが私を優しく抱き寄せ、頭をなでている。
「心配かけた、エディット。とりあえず、ここを早く出た方がいい。お目当てのものは確認できたし。多分上もそろそろ限界だろう。」
「お目当てのもの?」
「ああ。あれが死の太陽の動力源だよ。」
先ほどの怪しげに輝く虹色の球体を指さして、リアスが言った。
「あれが……。」
思わずゴクリと唾を飲む。
「今の俺たちだけで、あれを止めることができない。体制を整えて出なおした方がいいだろう。」
「分かりました。」
「エディットこのまま、俺に掴まっていて。魔法で上まで飛ぶから。アラエ・ヴェントルム――風の翼。」
ふわりと身体が浮いて、さっき落ちてきた穴に向かう。あっという間に、魔獣の間にたどり着いた。
「テオドル、動力源はこの下だ。一旦引き返すぞ。」
「しょ、所長。呪い解けたんですね。」
「その話はあとでする。今は、隠遁魔法で姿を隠して地上を目指せ。」
「分かりました。」
「レクイエム・イグニス!――炎の鎮魂歌。」
リアスの詠唱と共に、炎が波動のように広がる。炎の鎮魂歌は地獄の業火と比べ、効果範囲が狭い。その場にいた魔獣だけを焼き払った。
「行くぞ。」
リアスに手を引かれ、階段を駆け上がって、地上を目指す。私は普段走らないから、すぐに息が上がった。
「はぁ……はぁ……。」
「所長ここまでくれば、あの部屋の魔物は追ってきません。罠もありますから、ゆっくり行きましょう。」
サリーン男爵が言った。
「分かった。」
「リアス、あなたそういえば靴はいてないけど、足は痛くないの?」
「あ、足は防御魔法かけているから。大丈夫。」
そんなことできるんだ。思わず感心してしまう。
「お熱いですね~。二人で落ちていった時はどうなるかと思いましたけど、まさかあの危機的な状況で、愛を確かめ合うなんて。」
またしてもロビンが口を挟んで来た。いきなり変なことを言われて、顔が火照っていくのが分かった。
「――だまれ、ロビン。」
「ロビン、どういうことです?」
「あ、あれ?ユカライネン第一補佐官は呪いの解呪条件について、何も聞いていないんですか?」
「解呪条件?」
そういえば、最後までリアスは呪いを解き方を教えてくれなかった。
「心から愛している相手から、愛を告げられ、口づけを交わす。そんなロマンティックな呪いです。あれ本当は、少年じゃなくて、赤ちゃんにする呪いだったんですよ。所長が一部の魔力を分霊器に移したから、6歳児の姿になったんです。ちゃんと言葉が喋れる年齢でよかったですね~。」
あ、愛を確かめ合うだって!?火照りを通り越して、顔から火が出そうだ。心臓も口から飛び出しそう。
「ロビン、ぶっ飛ばすぞ。」
リアスも照れくさいのだろう。握る手が汗ばんでいるのが分かった。




