4. 精霊契約
「いやあ、降参だ。戦闘狂令嬢。それにしても氷魔法、すごい威力だった。それにトレーニングの成果か、前より魔力が安定している。」
「スヴェン、お褒めの言葉うれしいです。」
「エリアス殿下と闘った時もそうだったが、こうして魔法の高見を見せられると、自分もまだまだだなと、修練に身が入るよ。ありがとう。」
リアスか。正直、彼との戦闘での相性は悪い。場の温度を下げようとしても、彼の業火は私の冷気を上回る。こちらにとって最適環境にいくら頑張っても調整できないのだ。相性だけ考えれば、水属性の魔法で攻撃すればいいのだが、本属性と比べて、圧倒的に威力に劣るので考えものである。
「エディーお姉ちゃん!どうやって精霊と契約したの?」
「エディーお姉ちゃん、何属性使えるの?」
スヴェンの双子、トビアスとモニカが興味津々とばかりにこちらに寄ってきた。
「ふふふ。私は氷、炎、風、雷、土、水、全部使えるのよ!」
「すごい!すごい!あたしたち雷属性だよ。父さまみたいに雷の精霊と契約したいの!」
「なら、強い信念が契約のトリガーになるわ。」
「分かった!僕たちも父さまみたいに強くなる!」
傍で聞いていたシモンも聞き捨てならないといった様子で話に入ってきた。そういえば、彼は魔法大会の後のパーティーでも精霊契約にこだわっていた。
「契約にトリガーなんてあるのか?」
「シモン様は、精霊にこだわらずに魔法の精度を高めた方が効率的だと思いますよ。」
「俺がなんのために、辺境伯殿に弟子入りしていると思っているんだ!この国でも有名な精霊使いだからだ!」
「精霊って召喚できても、使役するのは話がまた別なんですよ。私も本属性ではない不死鳥を出す時は、消耗が激しいです。」
「で、さっき言っていたトリガーと言うのはなんなんだ?それを俺にも教えてくれ。」
熱心なのはいいが、他人の話を聞かない人だなと思った。
「炎の精霊は魂の"勇敢さ"に共鳴します。契約できないのは、あなたに勇敢さが足りていないのでは?」
「ゆ、勇敢さだと?」
「あなたが闘う理由は何ですか?家門のためですか?まさか親に言われて?」
シモンは何も言えなくなったのか黙った。そんな話をしているうちに、すっかり日が陰っていた。
「今日は、いい汗をかいた。皆、飯にするぞ。」
スヴェンが私たちを食堂に案内してくれた。今日の夕飯は山盛りのミートボールだ。ベリーソースとの組み合わせは初めてだったが、とてもおいしい。
「すまんな。俺は酒は飲まねえんだ。だからこの屋敷にも一滴も酒を置いてねえ。あれは感覚が鈍る気がするんだ。」
いかにも大酒家のような顔をして、スヴェンは一滴も酒を飲まない主義らしい。魔法に己のすべてをかける姿勢は私も見習いたいと思った。辺境伯一家と楽しく歓談していると、食堂に若い私兵が駆け込んできた。
「辺境伯!西の森にトロールの群れが出ました!」




