表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『好きになったらいけない恋』高校二年、春。ようやくできた後輩は面倒で不器用で、だけど目が離せない。  作者: 湊 俊介


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/22

一緒の夜

暑さで目が覚める。


隣にはパンツ一枚の姿でヤマトが抱きついて眠っていた。


「暑いからって裸で寝てると風邪ひくぞ」


そう言いながら、まだ眠たそうに目をこすっているヤマトにパーカーを羽織らせた。


ふと目をやると、ヤマトの下半身が盛り上がっている。


「勃ってるよ……」


そう言うと、ヤマトは顔を真っ赤にして前を手で隠しながら、慌ててズボンを履いた。


「溜まってるの?」


からかうように聞くと、「うるさいっ」と軽く叩かれた。


「花火、20時からだよな。18時ごろ出れば間に合うか。

それまで、何してようか?」


「……お腹すきました」


「ちょっと待ってろ、なんか作る」


キッチンに降りて冷蔵庫を開けると、卵がたくさんあったのでチャーハンを作り、ヤマトのいる部屋へ運んだ。


「うわぁ~美味しそう。先輩の手作り!?

いただきます!」


ヤマトは嬉しそうにガツガツ食べ、食後はテレビを見たり、ゲームをしたりして時間を潰した。


――


2人で甚平に着替え、夏祭りの準備をする。


「先輩、似合ってますよ!ぼく、どうです?」


「ヤマトも似合ってるよ。カッコいい」


2人で甚平姿の写真を撮った。


花火大会の会場に着くと、屋台がずらりと並び、人混みがすごい。


「うわぁ~何買おうかな~。先輩!射的!射的やりましょ!」


そう言って手を引かれた。


「よっしゃ、やった!」


ヤマトを見ると、よく分からない猫の置物を落として大喜びしていた。


お好み焼き、たこ焼き、綿菓子、水ヨーヨー――いろいろ買って、気づけば結構な金額になっていた。


「先輩!くじ引きやりましょう!」


くじを引くと、光るメガネが当たり、それをかけてみせるとヤマトが笑ってくれた。

いつもよりも笑顔が多く見えたのは、不安が消えたからかもしれない。


――


花火の時間が近づき、河川敷に腰を下ろす。


たこ焼きとお好み焼きを半分ずつ分けて食べていた時、


「あ、箸落としちゃった……」


困っていると、ヤマトが「あーん」と差し出してきたので、そのままかぶりついた。ヤマトは楽しそうに笑っている。


「先輩、話があります」


「ん?」


「ぼく、先輩のことが……」


ヒュー……バーン!


花火の音がその言葉をかき消した。


色とりどりの花火が夜空に広がり、ヤマトは目を輝かせて見上げている。


しばらくすると、ヤマトが俺の肩に寄りかかってきたが、周囲には同級生カップルもいたので、見られたくない気持ちもあり、さりげなく少し距離を取った。


花火が終わり、観客がぞろぞろと帰り始める。


「ヤマト、さっき何言おうとしたの?」


「……なんでもないです。先輩のたこ焼き、食べていいですか?」


「いいよ」


そう言うと、ヤマトは嬉しそうに残りを平らげた。


「今日も泊まってく? 明日、部活ないし」


「はい! 夜更かししましょ!映画、一気見ですね!」


帰り道、レンタルショップでSF映画を3本ほど借りた。


――


帰宅後、2人とも汗をかいていたので風呂に入ることに。

ヤマトが「一緒に入りましょう」と言うので、一緒に風呂へ。


狭い湯船に、俺が先に入り、ヤマトが背中を向けて身体を寄せてくる。

その拍子に、俺の股間がヤマトの腰あたりに当たってしまう。


ヤマトが体を動かすたびに擦れて、なんとも言えない感触になる。


俺はヤマトの腹の前に腕をまわして、狭いながらも一緒にくつろいでいた。


……と、ヤマトが急にそわそわしはじめる。


「どうした?」


「……なにも、ないです。先上がります!」


のぼせそうだったのか、そう言って先に風呂を出ていった。


俺が追って上がると、ヤマトはまだ体もきちんと拭かずに服を着ている。


「どうした?」


「な、なんでもないです……。トイレ、行ってきます!」


トイレに入って、なかなか出てこない。


「ヤマト?大丈夫か?」


「だ、大丈夫です!」


しばらくして出てきたヤマトは、どこかスッキリした表情だった。


「抜いたの?」


「え!? ち、違いますよ!何言ってるんですか!」


明らかに挙動不審だったけど、気にしないことにした。


――


その夜は映画を見ながら、いつも通り布団で一緒に寝た。


次の日、ヤマトと「部活でね」と約束して、解散した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ