一緒なら、なんでも。
11月の中頃。
今年は例年より雪が降るのが早くて、もう道端にもしっかり積もっていた。
土曜日の部活終わり。
雪の中を歩きながら、ヤマト先輩の隣で俺はウキウキしていた。
「先輩!雪合戦しましょう!かまくらも作りたいな~」
そう言うと、先輩は顔をしかめて答えた。
「やだ。寒い。死ぬ。子供じゃないんだから雪遊びとか無理」
完全に拒否られた。俺が駄々をこねて立ち止まっても、先輩は容赦なく前を歩いていく。
バンッ!
…え、ちょっと待って。
つい、雪玉を投げてしまった。
「おまえっっ!!」
先輩も雪玉を作って、俺に向かって投げ返してくる。
ああ、もう完全に始まっちゃった。雪合戦。
気づけば2人とも雪まみれになって、寒さなんて感じないくらい動き回ってた。
「……あついな」
「先輩も本当はやりたかったんですね」
「お前が…!」
口では文句を言いながら、ちゃんと付き合ってくれるところが好きだ。
きっと、俺が楽しんでると先輩も嬉しいんだと思う。
「滑り台作りましょ!」
一旦家に戻って着替えてから、近くの公園に向かった。
辺り一面、真っ白な雪景色。これなら滑り台も作れそうだ。
「スコップとか、ないの?」
「あるわけないです」
バシッ。
お返しの雪玉を先輩が投げてきた。
「いった…!忘れてましたよ、雪玉を転がして、雪だるまと同じ要領で積み上げればなんとかなりますよ!」
コロコロ雪玉を転がして、20分ほどでそこそこの大きさに。
あとは階段と滑る部分。分担して作って、1.5メートルくらいの滑り台が完成した。
「やればできるな、疲れたけど」
「よし、登ってみろよ」
言われて登ってみる。
「うぉぉ!」
滑り降りながら思わず声が出た。
「お前、今年いちばん声出てたぞ」
「先輩もやってみて!」
先輩も滑る。思ってたよりちゃんと楽しそうだ。
「うわぁっ!」
「先輩、ビビりすぎです。ツボる」
俺が腹を抱えて笑うと、先輩が走ってきて俺の体を掴んで一緒に雪の上に倒れ込んだ。
「はぁ~」
2人して同時にため息みたいな声が出て、それが妙におかしくてまた笑い合った。
「疲れましたね」
「だな。でも楽しかったな」
「僕より先輩の方が楽しんでましたよ。雪遊びは子供の遊びって言ってたのに」
「ヤマトとなら、何しても楽しいよ」
その一言で、心がじんわりとあたたかくなった。
「僕もですよ」
その時、公園の前を「い~しや~き芋~」の声とともに、焼き芋のトラックが通った。
「先輩、食べましょ」
大きな焼き芋を一本買って、半分こして一緒に食べる。
「美味しいな」
「先輩となら、何食べても美味しいです」
俺が言うと、先輩はどこか照れくさそうに笑った。
雪がちらちら降る中、焼き芋を食べながらゆっくり帰る。
今年の冬は、きっと特別な思い出がたくさんできる。
そんな気がした。
「なら、雪玉かじってみろよ。俺と一緒なら何でも美味しいんだろ?」
「……先輩、バカじゃないですか?」
無言で足蹴りを食らわせた。




