異世界勇者、魔術師を揶揄う
ルルティア(理沙)と幼馴染?になって五日、あれから俺達は毎日お互いの家に遊びに行くようになっていた。
勿論、ただ遊んでいる訳ではない。
俺達はこの謎の異世界転生について現状の確認と、他の仲間を探す為の作戦会議をしているのだ。
と、今までのの振り返りをしていると
「優馬〜、理沙ちゃんそろそろ来るんじゃない?」
という母の声とその数秒後に
ガチャ
「こんにちは〜。優馬君来たよ〜」
作戦会議をしに来たであろうルルティアの声が一階からした。
「理沙ちゃん、こっちこっち、二階のおふとんの部屋に来て〜」
「わかった〜」
可愛らしい声と共にトタタタと、階段を上がる音が聞こえてくる。
「入るよ〜」
幼い子特有の可愛らしい声が部屋の前で聞こえる。
‥あれ、ルルティアってこんなキャラだったっけ?
俺の知っているルルティアはもっと女王様っぽいやつだったんだが。
ガチャ
「アレク、いや優馬、さっさと前回の続きの話をするわよ」
部屋に入った途端、さっきまでの幼い子特有の可愛らしさが微塵も感じられない無愛想な声でルルティアが話し始める。
「急にキャラが変わったな」
つい、口からぽろっと本音が出てしまった。
「優馬が母さん達にバレると不味いから、子供っぽく振る舞えって言ったんでしょ!!」
恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしてキレ気味に叫ぶルルティア。母さんが来ると不味いからもう少し静かにしてくれ。
「悪かった悪かった、確か前回は、他のメンバーもこの世界に転生しているかだったよな?」
「ええ、そうよ。私達だけが転生しているのは変でしょう?」
まぁ、そもそも転生自体が変なことだから俺達だけが転生している可能性だってゼロじゃ無い‥‥‥いや、ネガティブな考えは良くないな。
「嗚呼、そうだな、きっと俺達全員が転生しているさ」
自分に言い聞かせるように俺は呟いた。
ルルティアにも不安なのが伝わったのだろう、ルルティアは
「それで、これから全員と再開するためにどうするかなんだけど、とりあえずニホンゴ?を完璧にしておきたいのよね」
と、気を利かせて別の話題を振ってくれた。
ーーこういう所は前世から変わっていないな。懐かしい。
ーーいや、それよりどうやらルルティアは日本語を完璧にできていないらしい。
それなら‥少しばかり煽ってやるのもありかもしれない。
「あれ?俺はもう日本語は完璧に話せるし、聞き取れるぞ?理沙、覚えるのが遅くないか?」
さぁ、どうでる!?
ルルティアは前世から負けず嫌いで煽られては喧嘩腰になっていたが‥
「はぁぁぁぁ!?ぜんっぜん遅くないしぃ!すぐに追いつけるしぃ!」
‥‥予想通りのリアクションで楽しい。
これだからルルティアを揶揄うのはやめられない。
前世でもロザークあたりに揶揄われては魔法をぶっ放して仲間内で戦争してたからなぁ。
と、懐かしい過去を思い出してニヤニヤしていると
「あぁぁ、もう、せっかく人が気を利かせて話題を変えてあげたのになんなのその態度は?もっと感謝しなさいよね!」
うん、ルルティアだ。紛れもないルルティアクォリティ(通常運転)だ。
「あぁ、ありがとうルルティア」
これ以上期限を損ねると不味いので素直に謝っておく。すると
「ま、まぁ、分かればいいのよ‥分かれば」
と、照れ隠しに髪の毛を弄り始め、時々チラチラとこっちを見ている。こういう所がジラフの言っていたツンデレで可愛いって所なんだろう。
相変わらずルルティアは変わっていない。
目の前にいるのは見覚えのない女の子で、でも中身はルルティアでーーーなんだかおかしくなってきて
「フハッ、ハハハハッ」
と、笑ってしまった。
「何笑って‥‥ふ、ふふふっ」
笑っている俺を見て、おかしくなったのかルルティアも笑い始める。
そうして俺達は、数分後にルルティアがいい加減にして!!と言うまで、笑い続けた。