表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

異世界(現実)転生!?

 

 「これで終わりだっっ!!魔王ヴェノレクタ!!!」


 手に握った聖剣からほとばしる雷が崩れ去った辺りを照らす。


 目の前には魔王との戦いで死んでしまった仲間達の姿と、憎き魔王ヴェノレクタだけが見える。

 もうハイポーションもないし、回復してくれる聖女リリエルも死んでしまっている。

 あちこち痛む体を必死に動かし、魔王に最後の一撃を決めにいく。


 「いくぞ!!!!」

 「神聖斬撃(サンクチュアリホール)魔滅(まめつ)》!!!!」


 俺が放った神々の祝福の効果を持つ斬撃は魔王の防御結界を壊し、魔王の体を破壊し、魔王の本体リトル・コアを切断した。


 切断された魔王から紫色の血飛沫が上がり、息絶え絶えに叫けばれた断末魔が耳をつんざく。


 「ヴァァアアアァアッッ!!!アアァアッッ!!クソッ!ヴグゥゥアアァアッッ!!!! おのレ‥‥人間め‥いツか‥‥‥いつノ日か我はマた復活シて‥‥人間を皆殺シに‥しテ‥ヤ‥‥る」


 その言葉を最後に魔王の体は崩れ始めた。

 魔王の崩れる体の所々からあたりに暖かな光が溢れていく。

 その光は闇属性の頂点の魔王の体から出たとは思えない、どこか聖属性の光魔法に似た慈愛に満ちた光だった。


 光が辺り一面に広がり、俺の体も包んでいく。

 光に完全に包まれると同時に体中から力が抜けていく。


 ーーあぁ、俺、死ぬんだな。

 そう感じた。

 全身から力が抜け、開けていられなくなったまぶたの裏側に、もういない仲間達の姿が映る。


 ーーーこれで俺たちの旅も終わりか‥‥

 ーーー長いようで短い旅だったな‥

 ーーーロザーク、ジラフ、ルルティア、そして‥リリエル‥‥俺も‥そっちに‥いくよ‥。


 俺の意識が暗闇に消え、そこで俺「アレク•フォスター」の人生は幕を閉じた‥‥‥‥はずだった。

 



 「おぎゃあ、おぎゃあ。」



 ーーー誰かの鳴き声が聞こえる。


 疑問に思いゆっくり目を開けると視界いっぱいに白い光が差し込んでくる。凄い眩しい、目がチカチカする。

 瞬きをしているうちに目が慣れてきて白い壁が見えてきた。

 

 とても清潔そうな壁だ。王国にもここまで綺麗な壁はそう無かったはずだ。

 

 ーーーもしかしたら王国軍に助けられたのか?

 

 そんなことを考えていると、


 「あ、パパ見て、優馬起きたわよ」

 「本当だ、優馬、パパでちゅよ〜」

 

 突然俺の視界に黒髪を肩まで伸ばした垂れ目の女性と、眼鏡をかけている黒髪の男性が映った。


 なんだこの言葉は?彼らは何を言っているんだ?

 王国にこんな言葉を話す奴なんていなかったぞ!?


 ‥いや、まずはここはどこか聞くのが先決だ。

 ーーここは何処なんですか?

 

 その言葉は


 「あぅあぃう、うだぁー」


 という、言葉になって俺の口を出ていった。


 ‥‥は?

 どういうことなんだ!? 


 起きあがろうとして手を伸ばしたことで気づく。


 ‥‥‥俺の手が生まれたての子供のように小さい。


 「あら〜優馬、泣き止んだわ〜」

 「いい子でちゅね〜」


 黒髪の女性と眼鏡の男性が何かを言っているが、全然理解ができない。‥まて、こんな言語存在していたか?

 

 いや、今はそれどころではない!どういうことなんだ?なぜ俺の手がこんなに小さいんだ?


 訳の分からない状況に混乱していると、ガチャリと音を立てて扉から白い服を着た女性が入ってきた。

 

 「優馬君のお母様、おかえりの準備が出来ましたよ。」


 白い服を着た女性が何かを言い終わると、黒髪の女性が笑顔になり、その隣で眼鏡の男性が荷物をまとめ始めた。


 黒髪の女性が俺に、


 「優馬、良かったわね〜、もうすぐお家に行けますよ〜」


 と言った。

 相変わらず何を言っているかは分からないが、この女性達に敵意は無さそうだし、その女性達が笑顔なことから悪い事では無さそうだ。


 「それじゃ、行きましょうか。」


 その言葉と同時に俺は黒髪の女性に抱えられた。そのまま、女性達は何処かへ移動していく。


 室内から出ると、一定の広さがあるホールの様な場所にでた。たくさんの人がホールにあるソファーに座っている。

 

 シャンデリアやカーペットはないが、とても綺麗な空間だ。王国にこんな場所があったのか。


 驚いて辺りを見回していると、ふと大きな鏡が目に入った。


 鏡には黒髪の女性と、黒髪の女性に抱えられた俺が映っていた。


 ーーーただし俺は十八歳の青年の見た目ではなく、生まれたての赤ん坊の姿で、だ。



 「あぅあいぃいうぇう!?」


 俺が叫ぶと鏡の中の赤ん坊も叫んだ。それで確信する。


 ‥‥どうやら俺は、赤ん坊に転載してしまったらしい‥。



 


 


 


 

 


 

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ