7話 始まり、そして悪夢
「ほんともう考えて下さいよ」
「かわいいだろ?ゆるしてくれよ」
というのも俺がスーラを王城に連れてきたからだった。本来、王城にはスーラのようなスライムは論外、悪魔でさえ何か大きな罪を犯さぬ限り王族・王以外は立ち入り禁止である。
「キュ?」
スーラがそういった瞬間、明らかにラスクの肩が揺れた。
「お前もスーラかわいく思ってるじゃん。それに...俺は王だ。スライム連れてくるくらい許されるだろ」
「今回!今回だけですよ!」
俺は笑ってうなずいた。
そのころ、光城。天使などが住む光文明では。軍事行動を起こしていた。
主犯格は、天使王セラフィム・エンジェル
魔法と浄化の使い手。
悪魔にとって天敵であり、天使にとっても悪魔は天敵であるため、長くにわたり、天使と悪魔は牽制し合い、悪魔の方が毎回上を行っていた。
しかし、今回悪魔王が異世界憑依したことにより、その混乱に乗じて一気に悪魔を倒す。そんな作戦だった。
確かに、今は悪魔界というより闇文明全土で混乱が起きていた。しかし、この戦はこの先の歴史に大きな干渉を起こすものだった。─特に光文明にとって
「今こそ、我らの悲願。悪魔界及び闇文明の支配。今こそそれが叶おうとしている」
光文明の兵団・天使の魔導師団を集めてセラフィムは堂々と演説をしていた。
三十分ほど士気を高めたのち、ついに第一波が飛び立った。
「敵襲!」
その知らせが王城に響いたのは第一波が飛び立った直後だった。
悪魔には<悪魔眼>を備えており、視力、動体視力など、あらゆる〝視覚"に関する事柄が、10倍になる。マサイ族もびっくりである。それゆえに、対面戦闘で悪魔にかなう種族は少なく、今回の天使襲撃も早期に気付いたのである。
しかし...
「転移魔法のアンチは張っているのか」
「いえ、そんなに気安に張れるものではありません。なので」
バアァン。城壁は意味を持たずにやすやすと突破された。
「どれ俺が行こうか」
「お待ちください!今王が亡くなられたらそれこそ悪魔界いえ、闇文明全土が支配されきってしまう...」
「安心しろ、そんなやすやす死ぬ気はない」
ラスクの制止も、ほかの大臣、武人の類の制止を振り切り、ミクセルは飛び立った。
「大将がのこのこやってくるとは。ずいぶんなめ切っているじゃないか。」
「ああなめているよ。だって君ら、今から死ぬんだもん」
<魔法術式・闇>
<アンチマジックフィールド>
「アンチマジックフィールド!?馬鹿め、貴様も攻撃手段が物理だけになったぞ?それにこちらには聖騎士軍もいる自らの首を絞めたな」
「闇魔法<悪極魔弾>」
「馬鹿な魔法だと?ブラフか!<完全盾>」
...発動することなく、中ボスはあっけなく瞬殺し、光軍は混乱に陥った。
<スキル作成>「スキル<無慈悲>」
その惨状はまさしく“悪夢”だった。
To be continue
6/22更新
L19の「天敵」→「天敵同士」
誤字失礼しました。
By みくり