イントロダクション
「ねえ、このアプリ……知ってる?」
「『ダウト』? ん~ん……知らない。初めて見た」
ゲームアプリ「ダウト」。
「今、コレ流行ってきてんだって~。アニキに教えてもらったんだ~」
「へえ……。ダウンロードは……無料か。私も入れてみよっかな」
「そうしよ、そうしよ! どうせ今、ヒマしてるし。やってみよーよ」
至極単純なゲームを提供するスマートフォンアプリだが、その単純さが故、初心者でも利用がしやすく、リリース直後から主に若い世代を中心に普及が進んだ。
アプリダウンロード数は爆発的に増え、リリースから三カ月後には運営の公式発表で一千万ものダウンロードを突破したという。
「ダウト! 『サヤ』、『ニュースアルファの司会者は武村アナウンサー』!」
「うぇ~……負けちった~。リィはニュースなんか見てないと思ったのに~……」
「アハハ、なにそれ~。ひど~……あ。この『ダウト』ってゲーム……」
だが、このアプリが爆発的な人気となった所以は、そのゲーム性だけではなく、ある目的に使われだしたことが大きい。
「『入室条件』ってのが設定できるみたい……」
「『入室条件』?」
「うん。ゲームに勝った人が総取りできる、賞金みたいなモノ……なのかなあ」
「賞金ね~……」
「サヤ、クレジットカード持ってたよね?」
「うん、あるよ~。作ったばかりのヤツ」
「ね、試しにさ。千円の『入室条件』設定して、もっかいやってみない?」
「ダウト」ユーザーの使用目的……それは、ギャンブル――。