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「ただいま」
彼女はリビングと思われる部屋のドアを開け、トーン低めの声でただいまと短く言った。彼女が部屋に入り、奥に進んで行こうしていたため、俺も部屋に入った。
「お邪魔します。はじめまして」
俺はそれっぽいことを短くまとめて挨拶して彼女の家族のいる方に軽く会釈する。
部屋に入ってみると...間取りとか言おうと思ったけど、お父さんの圧が強いから周りを見渡すわけにはいかなそうだから、説明はしない。まあ、部屋に入ったら、まず、彼女のお父さんと思われる人が目に入った。そして、目線を動かすとお姉さんがいて、多分、彼女のお母さんと思われる人物がお父さんとは反対の方に佇んでいた。
「おかえり」
お母さんは彼女に優しそうな声で短く言った。
「お話があります。黙って聞いてください」
彼女は沈黙を破ってそう言った。
彼女のお父さんは彼女を目視するだけで言葉を一切発しもしないし、発する気もないようだ。何も言わないと逆に怖いんだけど。「いきなり帰ってきたと思ったら男連れて帰ってくるとは何事だ!!」みたいな感じで怒ってくれた方が良かったんだけど。...今回は、それで済まないから問題があるのだがな。
少しの沈黙が続く。
俺と彼女は目を合わせて深々と頭を下げる。




