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COLD3

作者: たっき

※COLD1・2の続編です。まだCOLD1・2読んでない方は、COLD1・2をお読みください。

6、ついに……

 ついに、市村が行ってしまった。

「仲間が1人減ったな。」

 高橋がそう言った。

 その言葉には、2つの意味が込められていた。

 1つは、『この頂上から1人、減ってしまった』という意味。

 もう1つは、『俺たちを裏切った。もう、もとの5人には戻れない』という意味。

 そう、もとの5人にはもう戻れない。

 そのとき、とてつもない爆音とともに、みんなが飛ばされた。

 それと同時に、紅い液体が降ってきた。

 そう、『血』だ。

「何だ?爆発か?」

 高橋はそういいながら、頬に付いた『液体』を手で拭いた。

「なんで!?なんでそんなに落ち着いていられるんだ!!高橋は!!」

 僕は聞いてみた。だって、どこかで爆発があってみんなが飛ばされたのに、落ち着いて、

『何だ?爆発か?』なんて言ってられないと思ったから。

 すると、高橋がこう言った。

「ま、ま、まあね。い、委員長だからね。」

 ……明らかにおかしい。挙動不審だ。

「なんか変だよ。」

 また、僕は言ってみた。

「そ、そうか?あははははは。」

 ……やっぱり変だ。不審すぎる。

 そのとき、スピーカーの電源がついた。いやな予感がする。

【市村が、トラップにかかって死んだ。】

「……ッ!」

 言葉にならなかった。

【スーツケースの中に、爆弾を仕掛けた。スーツケースを開くと、爆発する仕組みになっていた。それを、ためらいもなく開けた。ほんとに、人間ってアホだな。】

「……俺も聞きたい事がある……!」

 もう、限界だ。

「あんた、なぜ市村の名前を知っていた。」

【ヴッ……】

 スピーカーの電源が切れた。

「おい、答えろよ!おい!」

「やめろ。みっともないぞ。」

 ……なぜそんなに落ち着いている!

「お前!さっきから何なんだ!おかしいぞ!」

「お、おまえこそ。さっきからキレてばっかりで!」

 高橋は、演技が下手だ。

「お前、なにを隠している!」

「…………」

「なんだ!言え!」

「ご……ごめん……」

 高橋の頬に一筋の涙が流れた。

 その涙に『液体』が混ざり、紅い涙になっていた。

「なんなんだよ。」

「1週間前、中村以外のみんなで、あるサイトにアクセスした。」

「は……何言って……」

「聞いてくれ。」

「……分かったよ。」

「そのサイトとは、“自殺補助登録サイト”だ。」

「自殺……!まさか……嘘だ!」

「本当なんだよ!……そして、そのサイトに……登録した。」

「な……なんで……」

「みんな、今を変えたかった。今が嫌だったんだよ。……だから、登録した。」

「嘘だ……!」

「嘘じゃない……!」

「嘘だ……!」

「本当なんだよ……!」

「じゃあ、今までの発言や、様子は……」

「そう……演技だ……すまなかった……」

「なんで……じゃあ、みんなも……」

「そうだ。」

「市村も……!」

「そうだ。」

「ここにいるみんなもか……!」

「そうだ。」

「なんで……!?」

 僕は、泣き崩れた。みんなが見ている。でも、そんなの関係ない。僕は、声が枯れるまで、泣き続けた。


 どれくらい経っただろう。あれからずっと、泣き叫んでいた。

 もう、のどが痛い。

 すると、奥から高橋の叫び声と呻き声が聞こえた。

 声が聞こえたほうに行ってみると、3人の男が高橋に暴行を加えていた。

 リフト乗り場の陰だった。

「やめろ!」

枯れた声で、3人の男を止めた。

「なぜ、高橋に暴行する。」

すると、その中の1人の男が、こう言った。

「こいつは、真実を喋った。生かしておくわけにはいかない。」

「……ふざけんな。」

「なんだと?」

「そんな理由で、友人を痛めつけさせられない!」

「……いい度胸してんじゃねえか。」

「ああ。」

 相手の男は腹が立ったらしく、高橋をけり飛ばした。

「ヴッ!」

 高橋の呻き声が、聞こえた。

「ヘッ!」

 例の男が、馬鹿にしたように笑った。

 なぜ、こんなことになった?

 その後、例の男との睨み合いが続いた。

 そのとき、その男がリフトの陰から出て、市村が使った拳銃を持ってきた。

「何をする気だ!」

 俺は怒鳴った。正直不安だったのだ。

「ヘッ!」

 例の男が笑ったその瞬間、拳銃の銃口が高橋に向けられた。

「こいつを殺す。」

「な……何言って―――」

『バドッ!』

鈍い音が辺りに響いた。

「てめぇ・・・・・・!」

 もう頭がおかしくなってしまいそうだった。

俺は、高橋を殺した奴の顔が分からなくなるくらい激しく殴った。

周りの2人が逃げていった。

高橋の顔からは、血がとめどなく溢れ出していた。もう分からないほどにぐちゃぐちゃになっていた。

そのとき、奴の手から拳銃が落ちた。

「・・・・・・」

俺は、それを見逃さなかった。

『バドッ』

俺は、奴の頭に銃弾を撃ち込んだ。

「くたばれ・・・・・・!」

俺は呟いた。

仲間を2人も亡くしてしまった・・・・・・

−のこり 5人−

7、Wショック

ショックで立ち直れない!

だが、仲間に会うと元気が出るのではないかと考えた。

なので、田中に話しかけに行った。

田中の所に行ってみると、仲代もいた。

だが、仲代がこっちを見ながら、おびえたような目をしている。 その視線の先を見てみると、俺のTシャツだった。 俺のTシャツには、血が付いていた。

・・・・・・奴の返り血を浴びたか。

「怖がらなくていい。」

僕は、全てを2人に話した

「う・・・・・・嘘だろ・・・・・・ 高橋が・・・・・・!」

「・・・・・・中村くん・・・・・・嘘だよね・・・・・・?」

2人が涙目でこっちを見ている。

「残念ながら、全部本当の話だ。」

「・・・・・・高橋・・・・・・!」

「・・・・・・高橋くん・・・・・・!」

二人の瞳から涙かとめどなく溢れ出した。

僕も気づけば泣いていた。


 今は何時だろう……そう思うくらい時間が経っていた。

 その時、仲代がフェンスに向かって走り出した。

「おい!仲代!まてよ!どうした!」

 そのとき、“ピカッ”という鋭い光とともに、“ドサッ”という鈍い音が聞こえた。

 目をあけると、焼けただれた仲代の姿があった。

「仲代……!?なんで!?何で仲代が!?」

 一瞬で、2つのショックが俺を襲った。

 心臓が張り裂けそうになった。

 その時、スピーカーの電源がついた。

【何だ!?もう2人も死んだのか!?……一瞬だったな。】

「ふざけてんのか!」

 俺は怒鳴った。

【ふざけてなんかいない。思ったことを言っただけだ。】

 ……だんだん怒りが込み上げてきた。

【ここで、チャンスをあげよう。……その場で人を殺せ。もちろん、素手でだ。もう、体力も精神も限界だろう。こちらからは、トラップの仕掛けようがない。確実に安全だ。10分後にチャンスの答えを聞こう。また連絡する。10分待ってろ。】

 ……スピーカーの電源が切れた。

 気づけば、涙を流していた。

 ―のこり 4人―


    COLD4へ続く

最後までご覧頂き、有り難うございます。

ぜひ、感想・評価・アドバイス・アイディア等を、よろしくお願いいたします。


そして、申し訳ございません。『COLD3』で完結の予定でしたが、文字数が多くなってしまうため、『COLD4』に続くことになりました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  物語の進行ペースはいいと思います。早過ぎず遅過ぎず、ストレスなく読めるのは非常にありがたいですね。  ただ、状況の説明が少しおざなりな部分もあるので、丁寧に推敲をして頂いて、読者を意識した…
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