3話
ゲートを通った俺が出た先は野原だった。暑くなく寒くもない過ごしやすい気候だな。風が凄く気持ちいい、このまま横になって眠ってしまいたいぐらいだ。そんな誘惑があるがそれをするのはまた今度にしよう。そんなことより、ここは本当に地球なのか?自分で作っておいてなんだが地球に感じないな。異世界独特の雰囲気が出てるせいで、THE異世界っていう感じがする。とりあえず、目の前のでかい建物が密集してる場所に行くか。
門に辿り着いたが不思議な事に門番がいない事に気がついた。確か魔物はいるって言ってたはずだが、攻め込まれたりしないのか?考えても仕方ない、誰かに聞いてみるか。丁度そこに若い女性が歩いてきた。
「すいません、聞きたいことがあるんだが今いいか?」
「大丈夫だけど、どうしたの?」
人間の姿だと前世で言うところの高校生ぐらいの姿をしているから、子どもに接するように対応してくる。
「どうしてこの町には、門番がいないんだ?」
女性の顔が、何言ってんだこいつ、みたいな表情をしている。仕方ないだろ、今来たばかりで何も知らないんだから。だが、そんなことを言うわけにもいかない。
「いろいろ聞こうと思ったけれど、言いたくなさそうな顔してるからいいわ。この町はアルテミス様のご加護によって守られているの、だから魔物も町の近くには近寄れないのよ。それで、門番という仕事が意味をなさなくなったから門番がいないのよ。」
「なるほど、そういうことか。それともう一つ、魔法学院に入りたいんだが、どこにあるんだ?」
「学院に入りたいのは分かったけれど、入学式は明日よ。それよりもあなた、この町の子じゃないでしょ?明日まで寝るところあるの?」
それを言われて気づいた、というか遅かった。俺はこの世界の金もなければ、生活する場所もない。そこらへん考えてからこっちに来ればよかった。そんなことを考えていたからだろうが、困っているというのが顔にでていたらしく、女性がそれを見て提案してくる。
「本当はこういうのはよくないんだけれど、学院の寮に住む?」
「マジで!?そんなことできるのか?」
「これでも学院の学院長ですからね。運がよかったわね。」
不幸中の幸いとはこういうことを言うのだろう。とりあえず、何とかなりそうで助かった。神様、感謝いたしますって言っても神はあの二人だから複雑な気分だな。
「ついでにこの町の案内もしてくれないか?」
「今更だけど随分と図々しいわね。でも、何故だかあなたには従わないといけない気がするのよね。ただの勘だけど。いいわよ、案内してあげるわ。」
「流石学院長、太っ腹だぜ。」
「誰が太ってるのよ!」
という声を合図に俺の町案内が始まった。