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遊び人の仲間が増えました。


「で、結局なんなの、君」


 勝手に出てきてサモンと3バカを地べたに這いつくばらせたサラに、ライズは改めて問いかけた。


「え? なんかこいつらが『最高に強いサラの姉貴の力で、ワルい奴をこらしめて欲しいんす!』とかいってきたから、ついてきたのよ!」


 ふんす、と鼻を鳴らしたロリは、ない胸を張ってペラペラとしゃべる。


「まぁこの私の魔法の力にかかれば! そこらへんにいる奴らなんか相手にならないしね!」

「ライズさんには効かなかったみたいですけど……」

「む!?」


 おずおずとツッコむコンソメに、サラが眉根を寄せた。


「たまたまかしら……こんなヤツが私の魔法を防げるわけもないし」

「たしかに防げないけど、オレ、悪いこととかしてないんだけど」


 むしろコンソメに絡んでいた3バカのほうが、よほど悪いと思う。

 しかしサラは、ジッとライズの顔を見上げてから、迷いなくきっぱりと言った。


「目つきがワルいわ」

「それは生まれつきだし」


 どういう意味でも悪けりゃそれでいいのか、とそこはかとない理不尽さを感じると同時にめんどくさくなったが、なんだか逃げれなさそうな雰囲気がする。


「ということで、オレたちは今から『ゴキンジョの国』に向かうからいそがしい。特に悪いこともしていない。さよなら」


 ライズは一方的に言いながらくるりと背を向けるが、服のすそをガシッと掴まれた。


「なに?」

「何じゃないわよ。魔法を防いだんじゃないなら、どうやって避けたのか教えなさいよ!」

「なんで?」


 理由を説明してやる必要はないはずだが。

 そう思いながら首をかしげると、サラは偉そうに言った。


「私が気になるからよ!」

「オレの知ったことじゃなくね?」


 非常に迷惑なちびっ子……さほど歳は変わらないが……の空気の読めなさにうんざりしていると、さらにサラは言いつのった。


「それと今、あなたゴキンジョにいくって言った?」

「言ったけど」

「ちょうどいいわ! 私も連れて行きなさい!」

「意味が分からないんだけど」


 なぜこのロリな姉貴を連れて行かないといけないのか。

 しかし彼女の口から語られた事実に、ライズは次の瞬間ポカンとした。




「それは、私が『ゴキンジョの国』の第二王女だからよ!!」




「「「……………は?」」」


 ライズ、サモン、コンソメの三人は思わず声をハモらせた。


「え? マジで?」

「マジマジ、大マジよ! ちょうどよかったわ、家に帰れる!」


 ひゃっほーい、と両手をあげるサラを見て、ライズはサモンに目配せした。


「サモン、あの国の第二王女の名前覚えてる?」

「サラプレート・メインディッシュ」


 即座に答えたサモンに、ライズは思わず目を閉じた。


「さすがサモン……」

「いやでもこれ、厄介ごとやろ?」

「女のことに関しては、童貞のくせによく覚えてる……」

「そっちかい!! 単なる知識やろがい!!」


 ギャンギャンと詰め寄ってくるサモンを手で押しのけながら、ライズは目を細めた。


「それ、本当の話?」

「そうだけど。誰も信じてくれなかったのよねー」


 プリプリと両手を組んで頬をふくらませたサラは、『ま、バカにしてきた奴は全員ひざまずかせたけど』となかなかに物騒なことを言った。


「え、えっと、も、もし本当の王女様なら、逆に連れて行かないとまずいんじゃ?」

「なんで?」

「だだ、だって行方不明なんですよね!?」


 コンソメはわたわたと慌てているが、こいつも魔王の娘である。

 王女というのは、もしかして自由に城を出入りできるものなのだろうか。


「ねぇ、サモン?」

「お前のけったいな内心を読めるのは非常にシャクやけど、ぶっちゃけそんなわけあれへんからな」


 こいつらが変人なんや、というサモンに、ライズはうなずいた。


「てかさ、なんで騒ぎになってないの?」

「そんなもん俺が知るかいな」

「あー、影武者立てて出かけるの、しょっちゅうなのよねー。お父様も諦めておられるんじゃないかしら」


 あはは、と笑うサラだが、それを諦められるのはどうかと思う。

 しかしこの調子だと、断ってもついてきそうだ。


 めんどくさくなったライズは、いつもの手を使うことにした。


「サモン」

「なんや」

「女性の相手はお前に任せる」

「あん?」


 サラが手を離したのをいいことにさっさと歩き始めながら、ライズは肩をすくめた。


「お前がロリも守備範囲なのは知ってるから」

「ちょ待てや! ロリババアは範囲がーーー」

「〝跪け〟!!」

「どぶぁ!!」


 サラの魔法で言葉を中断させられたサモンは、ロリが守備範囲内という部分は否定しなかった。


「は、幅広いんですね……?」


 覗き込みながらおずおずと訊ねるコンソメの言葉を、わざとか聞こえてなかったのか無視しながら、ガバッと起き上がったサモンはサラに吼えた。


「何しよんねん! ロリババアはロリババアやろがぼぁ!!」

「さっきからうるさい奴ね。でも助かるわ、ライズ、だっけ?」


 再び地面に叩きつけたサモンを踏み越えながら、サラがニコニコと言う。


「実はここら辺に遊びに来てから、ずっと迷子だったのよね!! 五年くらい!!」

「結局迷子なんやないかい!!」

「長すぎだろ」


 そこまで放置されているのなら、もう諦められていると言うより忘れられていると言う方が正しいのではないだろうか。


 そして、ライズはなぜ範囲攻撃を回避できたのか、という問いかけをうやむやにしたことにチラッと思考を向けつつ、肩をすくめた。

 


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