おでかけその2
………それにしてもひなちゃん良く寝るな………
もう昼過ぎの3時だよ!?
よっぽど疲れてたんだな、着いた時は11時だったのに、これだと海に行くことは無さそうだ
「ひなちゃん?」
俺はひなちゃんの耳元で囁いた
「うーん」
しかしひなちゃんは起きない、車の中でひなちゃんにくっつかれてるのはすごく嬉しいんだが暇なんだよなぁ
「うん?あぁ、良く寝たぁぁ」
「おはよう、ひなちゃん、良く寝てたね」
ひなちゃんは起きるとすぐにケータイを見た
「え!?嘘!もうこんな時間!たっくんごめん………」
「うーんどうしようかな〜許そっかなー」
珍しく俺が会話の主導権を握った、これはチャンスだ!
「たっくん許してよ〜」
少しひなちゃんの目が潤んだ
「いいよ、俺がひなちゃんを許さないとでも思った?」
「たっくん!ありがとう!」
そう言ってひなちゃんはにへへ、と笑った
あーこの笑顔が俺だけのもんなんだと思うとたまらなく嬉しい
「たっくんどうしてにやけてるの?」
「え?いや!その、な?」
にやけてるのばれた……
「何かやましいことでもあるの?」
「ないよ!?」
「じゃあなんでにやけてるの!」
「ひなちゃんの笑顔が可愛いんだよ!」
「え!?え!?え!?」
ひなちゃんは戸惑っている
ひなちゃんが寝る前も言ったけどね!?
「たっくん、急に言うのは反則だよ……心臓止まっちゃうかと思ったじゃん……ほんと、たっくんってそー言うところ!」
「え?あ?ごめん……」
「謝らないで!」
「え?でもそー言うところって…」
「そー言うところがかっこよくて好きって意味!」
「え!?え!?ええええ!?!?」
「これ私8年前からずっと言ってるよ!もう!」
ひなちゃんは俺の方を向かない
「……とりあえず、海行ける時間じゃないし、颯太の家、行くか……」
「うん……」
しばらく俺は赤面してひなちゃんの方を向けなかった、ひなちゃんも同じなのか?てかこんなに胸がばくばくしてるのいつぶりだろうか、おでかけ提案してくれてありがとう、ひなちゃん
ーーー颯太宅の駐車場
「うわぁ、駐車場、すごい………」
「そうだな、何回来てもここは地下駐車場と見間違う」
とりあえず普通に会話できるようになってきた、ひなちゃんは俺以外の人と話す時は甘えたがりな口調を封印するので、ちょっと今少しずつまともになってる
「拓人様と日向様、お待ちしておりました」
颯太の家の使用人が迎え出てくれた
「颯太、居ますよね?」
「もちろんいますよ」
颯太の家の使用人は堅苦しい言葉を禁止されている、颯太の方針だ
フレンドリーなあいつらしいな
「ではこの奥にインターホンがありますので鳴らしていただければ颯太様が出てくるかと」
「ありがとうございます、使用人さん」
そう言って俺とひなちゃんは玄関へ向かう
「お泊まりって言うとお泊まり会、懐かしいね、たっくん」
「そうだな、懐かしいよ、あれがひなちゃんとの運命の出会いだったんだな」
「うん!」
そしてインターホンを鳴らす
ピーンボーン
ガチャ、と言う音と同時にドアが開く
「お、来たか!……」
と言うわけで今この状況である
「何飲む?」
「あぁ、じゃありんごジュースで」
「お前相変わらずりんごジュース好きだなぁ!日向さんは?」
「え?あ!はい、私もりんごジュースで!」
「なぁ、もうアピールしてないかお前ら?」
「なんの?」
「幸せアピールだよ!」
ひなちゃんがすいません!と言おうとした時に俺が言った
「あーこれね、好みが同じなんだよな」
「そうなんですよ」
「あ、それだけ?なんかごめんな?」
颯太は謝り、りんごジュースを入れてくれた
「とりあえずそこの部屋で2人で寝たら良いよ、あ!そういや拓人時間ある?ちょっと話したいんだけど」
「あぁ、良いよ」
そう言って俺は立ち上がった
「あのー、私はどうすれば……?」
そうだ、ひなちゃんを置いていけない
置いて行くと騒ぐからだ
「あー、それならゲームでもしといてくれるかな?そこに大体のゲームは収納してあるから、そこから遊べば良いよ」
颯太、ナイス提案だ、それならひなちゃんも騒がない
「わかりました……」
どこかひなちゃんの顔が寂しそうだった
「じゃあ行くか、拓人」
「あぁ、あ!ひなちゃん!すぐ帰ってくるから!」
「うん……」
そう言って2人は2階のベランダへ……