おでかけその1
ピーンポーン
「お、来たか拓人と日向さん!まあ上がって上がって!」
「はーい!突然すみません颯太さん、ほら、たっくんも!」
「あぁ、うん、すまんな颯太、突然押しかけて」
なぜこうなった!?!?
颯太の家になぜ俺たちが来てるんだ!?
全ての始まりは朝ごはんの後だった…
ーー朝ごはん後
「ねえたっくん!おでかけしよー!」
「えぇ!?ゲームするって言ったじゃん!」
「ゲームはいつでもできるじゃーん」
「いつでもできないよ!?」
「おでかけしたいよー!」
ひなちゃんはこう言って聞かなくなった
いつものことだ、駄々こねるのも可愛いなぁ
「・・・わかったよわかったから」
「やったー!たっくんとおでかけだー!ね!どこ行く?どこ行く?」
ひなちゃんは物凄く興奮している
ただし俺は家でイチャイチャしてたい!
「たっくん私とおでかけしたくないの?」
ひなちゃんは目が潤んでいた
「そ、そう言うわけじゃないよ!ただ家で2人で話すのも悪くないなと思ってさ」
「じゃあ家以外ではイチャイチャしたくないの!?」
そりゃあ外とか他人の家だと恥ずかしいからな!?いや待て、1人だけ寛容な心で許してくれるやつがいる……?
「じゃあひなちゃん、おでかけしよっか」
「やったー!」
そして俺はある人に電話をかける
そうだ、俺が信用できる従兄弟、颯太だ
あいつの家は豪邸だし、割と遠いから寄り道しながら泊まりで行くとおでかけになるか
プルルルル
電話をかける
「拓人?何の用だい?」
昔はくん付けされてた颯太からも、今や呼び捨て、仲良くなったもんだ
「あー颯太?今日と明日で遠出してさーお前の家の近く寄るから泊めてほしいんだけど大丈夫?」
「お前らー、幸せアピールしに来るのかぁ、いいよ!準備しとくから絶対来いよな!」
「おー、ありがとー」
颯太の家は2つ隣の県にある、1泊2日で丁度いいだろう
「ひなちゃん、プラン立てるぞ」
「えー、めんどくさいからノープランがいーいーなー」
いつもひなちゃんはノープランが好きだ
まあそれも良いか
「わかった、車出すよ?」
「やったー!」
そう言ってひなちゃんはにへへと笑った、何度見てもこの笑顔は慣れずに癒される
ーーーそうして俺はひなちゃんを乗せて車を走らせる
「たっくん!あの空綺麗!撮っていい!?」
「良いけど窓より外に出るなよ、危ないから!」
「わかってるよー」
そうしてひなちゃんのスマホのシャッター音が鳴る
「たっくんにも送っとくね!」
「後で見るよ」
「うん!」
よかった〜……今見てとか言われてたら断るしかなかったからな
そして休憩がてらと思いサービスエリアに停まる
「ちょっと休憩しよっか」
「うん!」
そして車を降りるとすぐにひなちゃんは俺にくっついてくる、ひなちゃんは年齢的に現役学生でもおかしくないから大丈夫だが俺は年なんだ!うん!25なんだよね?
でも恥ずかしいって言えない、めっちゃ嬉しいから
そして互いにトイレを済ませてサービスエリア内のお土産売り場を見ていた
「たっくん、私決めた!」
「何を?」
「海いこ!」
「海で何するんだよ」
「私アウトドアのリクライニングチェア持ってきたよ!」
「なるほどのんびりするんだな大賛成だ、てかいつ入れた!?」
「気分で昨日車のトランクに突っ込んでみた!」
気分というものはとんでもないな
まあそれは俺も賛成だ、水着もひなちゃんが俺の分まで持ってきたらしい
「で、どこの海岸に行くんだ?」
「え?沙天馬海岸!」
沙天馬海岸とは、俺たちの住んでる隣の県の海岸である、人気レジャースポットだ
そして車を走らせる……
ーーー沙天馬海岸駐車場
「たっくん、暑い〜」
「海行くって言ったのひなちゃんだろ?」
「ちょっとだけ車の中で休ませて〜」
「仕方ないな、身体壊したら元も子もないもんな…って!何してんだひなちゃん!?」
ひなちゃんはふにゃあ、と言って俺にもたれかかって来た
「昨日ゲーム買いに頑張って行ってくれてたんだな、ありがと」
ひなちゃんはにへへ、と笑った
「その笑顔、可愛いよ」
俺とひなちゃんが知り合って8年、ようやくこの笑顔に可愛いと言えた
「たっくーん、だいすきぃ…すぅ」
ひなちゃんはそのまま寝てしまった
まあこのままそっとしておくかな
ありがとう、ひなちゃん