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素直になりたい。

作者: まき

自分の心に向き合うことができない私。年下の男の子に突然「触れていい」と言われる。どう答えればいいのだろう。

「触れていい?」

まっすぐにこちらを見つめて、君は私にささやいた。いきなりそんなことを言われたので、どうしていいのか分からず下を向いてしまった。触れてほしいと思っていながらも、そんな言葉を口にすると迷惑をかけるのではないかという思いが自分の気持ちにブレーキをかけてしまった。


思えばいつもそうだった。我慢するばかりの人生を送っていた。「言われたことを守らないと」や「いい子にしていないと」という思いに縛られていた。辛くてしんどいのに平気な振りをしていつもごまかしていた。大丈夫と顔を上げて笑顔を無理やり作っていた。しかし、どうだろう。こんなに頑張っている私はいまだに独り身でいて、わがまま放題言っている人はさっさと結婚してしまっていた。いまだに独身でいるのは私一人だった。自分のやりたいことを口にしている人は欲するものを掴み取っていた。我慢して我慢して我慢して待っていたのは、どんどん年を取ってしまっているという絶望感だった。


私もわがまま放題言ってみようと、思い切って口を開いてみた。

「こんなおばさんからかうと痛い目見るよ。」

震えながら出てきた言葉だった。「すいません。」と、君は伸ばした手を引っ込めた。体の内側がうずいているのが分かった。きっと自分で自分を裏切ることに快感を覚えているのだろう。どうやら生粋のエム気質らしい。

これでいいんだと、安心してしまった。言いたいことを言えない状態のほうが心地いい。そうやって生きてきたし、これからも平気な振りをし続けるのだろう。



そして、また明日も我慢をするんだろう。私の人生ってそんなものだ。

平気な振りをして大丈夫な顔をしてこれからも生きていくのだろう。それが私が選んだ道だから。

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