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プロローグ
かつて古に世を掌握せし目前まで迫る国あり
其の国 名を「ロヴトベルク」と――
五ツの聖典 神の力を宿し
力を与えられし者 人智を超えし能を振らう
五人の賢者 こよなく国を愛し
神の力 富国強兵に使われり
国には人と魔が混じり されど争う者は無し
いと優しき人魔の営み 悠久を過ぐが如し
争い無き世に飽きし者ども 王に提案す
他国を統べし力 我らが振らうべしと
王は四人の賢者を遣わせ この世を統べんとす
人の醜き欲望 神の怒りを買う事となる
聖地を退かれし神々怒り 祖国に災いもたらさんとす
国に残りしは一つの神のみ 力及ばず国は堕つ
人と魔とは争い始め 遂には同種も争い殺す
国はかつての栄光失い 残るは現世に出でし冥府
生きし人共は外へ逃げ 残りし魔共も常に争う
しかして神らの力も果て 一時の眠りに就かんとす
力を宿せし四ツの聖典 固く封せられ外地に眠る
唯一つ残りし聖典 未だ行方は知らず
されとて探し求める者 一人としておらず
<ロヴトベルク黙示譚 第一章>