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エリート高校の落ちこぼれの転校生  作者: うしやき
第一章 悪魔騒動編
8/80

奇跡の光(中編)

訓練1日目


「火恋、お前の訓練内容は。午前中に煉獄れんごくの習得にあてて、午後からの実技訓練棟では、剣術のレベルアップにつとめる」

「質問良い?」

「なんだ、いってみろ」

「午前中のはわかるけど、午後からの剣術の訓練って流派が違う陽翔には無理じゃないの?」


まあ、たぶん聞かれるであろうと思っていたことを聞かれた。


「それに関しては心配ない」

「なんで?」

「なぜなら……お前の剣術は流派とか言ってられない段階だから、この5日間で橘流の稽古はしない」

「え?じゃあ、何するの?」

「今考えてるのは、素振りと足捌きだな」

「な……!そこまで下手くそじゃないよ!」


たしかに橘流を継ぐものとしてそれなりの稽古はしてきただろうけど。俺がしたいのは、ただの素振りと足捌きじゃ無いんだな~。これが


「いいから、黙って従え。俺を信じてくれるなら、お前をこの5日間で劇的!ビフォー○フターしてやるから」

「うー……。わかった…」


渋々ではあるが納得してくれたようだ。


まあ、察しの良いところがあるから。なにか直感したのかもしれないな。


「それではまず、煉獄についてレクチャーする」

「はい!師匠せんせい!」

「まず煉獄といえば、超強力な破壊系の魔法と思うやつが大半だがそれは違う。煉獄の真骨頂は、その本質でもある浄化にある。第一に、煉獄って言葉は宗教的な解釈では、天国と地獄の間にあり、死者の霊魂が天国にいく前に火によってその罪を浄化する場所とされている。だから、煉獄の正しい効力は、熱量による蹂躙ではなく、対象を清め溶かし洗い流すことだ。ここまでは理解できたか?」

「う、うん……。がんばる」

「まあいい、説明なら何時でもしてやるから先に進むとしよう。でだ、煉獄を使う上で大事な点は、対象が煉獄を使うに値する罪を犯したか、そして、魔法使用者がその罪を許すことができるか…っていうところだ」

「え?罪を許す?」

「そうだ、くだらない精神論だと思うだろうがこれは真実だ。煉獄まほうはあくまで煉獄しんこうを魔法的に解釈してそれを魔法に昇華したものだ」

「じゃあ、どれだけ相手を許せるかってこと」

「ああ、大概正解だ」

「で?どうやって発動するの?」

「発動方法は他の魔法と変わらない。詠唱して魔力を魔方陣に注いで、あとは本人の意思で発動する。まあ、達人級マスターレベルの魔法師になると無詠唱でやったりする。だが、お前は俺のオリジナルでやってもらう」

「オリジナル?」

「ああ、実戦した方がいいか」


そういい俺は、右手の人差し指に魔力を集中し、空中を疾走はしらせた。一見すると何をしているかサッパリだが。その秘密は後に明かされることとなった。


「え?なにやってるの?」


どうやら火恋も理解できてないようだ。


そういっているうちに、右手の動きが止まり、俺は力強く唱えた。


「風の羽衣!」


次の瞬間、俺の回りに半透明の風の結界が張られた。


「!?今、どうやったの!?」


火恋はまだ理解できてないみたいだ。


「簡単な話だ、魔法の基本行程は、まず詠唱、それと平行して魔方陣の作製、そして魔力の注入。俺も最初の頃はこれをやってはいた。というか、今でもやる場合はあるが、正直面倒だと思ってな、自分なりに改良できないものかと思い、1年半の歳月の果てこの技法を完成させた」

「だ、だから何をしたのよ!?」

「ようは、魔法の発動に必要なのは最低二つ、魔方陣と魔力だ。詠唱ははぶこうと思えば省ける。そこで、指先に魔法の発動に必要な魔力を集中し、あらかじめ暗記しておいた魔方陣をその指で描く。そうすることによって、3工程を1つにまとめることができた」

「え…!?それって世紀の大発明じゃないの!?なんで魔法協会に発表しないの?」

「理由は簡単だ、魔法が戦争の道具になるからだ」

「……………?」


そうか、コイツらは知らないのか……。


魔法師おれたちが今まで何をしてきたのかを……。


「まあ気にするな。それより、早速始めるぞ」

「あ、うん…」


その一方で



~瑠璃の視点~



「で、俺は何をすれば良いんだ?」

「そうですね、水原君には簡単なゲームをしてもらいます」

「ゲーム?」

「ルールは簡単です、制限時間は午後12時までの3時間私は崖の下の森の中を逃げるので水原君はこの崖から狙撃で私に一撃入れれば勝ち、入れれなければ負け。以上なのですよ」

「一撃で良いのか?」

「はい、このゲームを5日間続けてもらいます」

「な!?そんなくだらないゲームで5日間使う気か!?」

「はい、文句があるなら陽翔君に言ってくださいね?まあ、あなたが言えるなら…ですけどね」

「くっ……」


水原君のプロフィールを調べた際に過去にいろいろあったことをたまたま見つけてしまったのです。恐らく、この件は本人にとっては触れられたくないっぽいので脅しに使ったら効果絶大なのです。


「それじゃあ、始めましょうか。ちなみに私も魔法は使うので簡単に倒せると思ったら大間違いなのですよ?」



~陽翔視点~



結論からいうと火恋はセンスがなかった、魔力量は正直破格の量だと思うが、それを扱うだけのセンスが追い付いていなかった。猫に小判、豚に真珠、宝の持ち腐れだった。


「ふぅ……。諦めるか……(遠い目)」

「ちょっと!さらっと遠い目して残酷なこと言わないで!」

「だってさぁ…」


正直もう疲れた。


まず短縮魔法発動のために、練習として炎系の魔法の中で初歩中の初歩である『火炎フレア』をしてみようと思ったのだが、練習開始から二時間半たったがいまだに普通にやった方が速いぐらいのレベルにしかなってない。


このままじゃ、煉獄はおろか普通の魔法もマトモに使えないな……。


「あのさぁ、なんで煉獄なの?」

「ん?」


ふと、火恋が今更かと言うタイミングで訪ねてきた。


「理由か?」

「うん、ただでさえ才能ないのに、なんで更に高等魔法を覚えさせようとしてるの?」

「理由は三つ。まず一つ目が、お前の魔力量の多さだな。普通のやつの2~3倍近くあるからな、大量の魔力を消費する高等魔法も容易たやすく使えると思ったからだ。そして二つ目が、危機的な状況でも一発逆転が狙えるからだ。そして三つ目は…」

「三つ目は?」

「三つ目は……内緒だ」

「えぇ~良いじゃん教えてくれても…」


ちなみに言えない理由は、単純に俺が恥ずかしいからだ。


「ほら、無駄口叩いてないでさっさと練習しろ!」

「は~い……」



・・・・・・



「おい、また肘が曲がってるぞ!しっかり伸ばしきれ!」

「は、はい…!」

「次は肩が力みすぎだもっとリラックスしろ!」

「はい…!」


煉獄の練習が時間切れとなり今俺たちは、実技訓練棟にいる。火恋と俺は最初にいった通り素振りをしていた。


「はい、ラスト100本!」

「はい!」


本日の課題は、素振り1000本×5セット、摺り足ダッシュ5kmだ。普通1日にするメニューじゃないが火恋のレベルではこれぐらいしないと間に合わないから、体の故障覚悟でやっている。


ちなみに、その火恋はといえば。


最初の1セットは良かったのだが、2セット目から段々と方が崩れてきた。俺の考えでは、これはアスリートにも言えるが、魔術師や剣士、アスリートの最も重要なのは、どんなキツいときにもどんな状況でも最高のパフォーマンスができることだと思っている。


「ラスト5本、4、3、2、ラスト!」

「あぁぁぁぁぁあ………、やっと終わったぁぁぁーーーー!」

「それじゃ、30分休憩を挟んで次は摺り足ダッシュだ、良いな?」

「う~、は~い……」


やっと5セット目か終わり、火恋は床に寝転がった。


「ふぃぃぃぃぃ~……。床がつめた~い…」

「ほら、汗ぐらいちゃんと拭け。風邪引くぞ」


そういって、俺は仮想空間から出したタオルを火恋に投げた。


「あ~、ありがと~」


ちなみに、瑠璃と水原は遠くでなにかコソコソとしていた。


「くすくす…アイツらみろよ素振りとかやってるぜ……」

「おい、声が大きいよ聞こえちまうぞ」

「いいんだよ、どうせ言い返せないんだからよ……アイツら落ちこぼれだからなwww」

「たしかにwww」

「ねえねえ見てよあの二人。あん汗臭いことやって。ダッサ…」

「本当だよねぇ、いくら刀使うかって。あんなバカみたいに素振りして。素振りなんて今更なのにね…」

「どうせ剣術も落ちこぼれなんでしょ」

「そうかもねwww」


等々、俺たちは客寄せパンダにも劣る蔑みの視線を受けていた。

まあ当然っちゃあ当然なんだけどな。


回りのやつらといえば、魔術の練習をするか作戦や、連携の相談をしていた。汗臭いことをやっているのは俺たちだけだった。まあ、俺はやってないんだけどな。


「ぐすっ……」


陰口の対象でもある火恋は情けないことにグズっていた。


俺はそんな火恋の頭を、俺の頭に引き付けた。


「にゃっ!な、なにするの!?」

「良いから黙って聞け…、あんな陰口は気にするな、アイツらは来週にそんなバカにした俺らに負けるんだからよ」

「う、うん!」


少しは元気を取り戻したのか返事が力強かった。


「よしっ!元気が出たみたいだから、休憩を切り上げて練習始めるぞ」

「うぇ!?まだ、10分も休憩してないよ!?」

「うるさい、師匠の言うことに歯向かうつもりか?」

「ぐ……、分かりました」

「なら、ここから5km先のスーパーまで摺り足ダッシュだ。もちろん帰りもな」

「え!?摺り足ダッシュ5kmって片道5kmって意味!?」

「おいおい、誰が往復5kmっていった?騙されたお前が悪い」

「く、くそー!わかったわよやるわよ!やってやるわよ!」

「そのいきだ」


こうして俺たちは実技訓練棟を出てスーパーに向かった。ちなみに俺は自動走行板スクーターを使ってついていった。横を走っている火恋が「あとでぶん殴ってやる!」とでも言いたげな顔をしていたのは言うまでもない。


こうして、練習初日は無事?幕を閉じた。



・・・・・・



摺り足ダッシュが終わり俺と火恋は各々(おのおの)の宿舎へと帰った。


俺の部屋(瑠璃の部屋)につき、朝瑠璃に渡されたカードキーを認証装置の前にかざして部屋にはいった。


「おかえりなさいなのです~」


瑠璃は先に帰ってきたようで、ソファーに寝転がってテレビを見ていた。足をバタつかせていたので下着が丸見えだった。ちなみに色は水色と白の縞パンだった。


「おい、パンツ見えてるぞ」

「見えてるんじゃなくて、見せてるんですよ~」


はずかしめるために言ってみたらまさかの返しに俺はずっこけた。


「あ、ご飯ができてるので。早く食べちゃってください。お風呂も沸いてるのでお風呂からでも良いですよ?」

「いや、飯からもらうよ」


そういってテーブルの上にラップをしてある料理に手をつけた。

今日のメニューはカレーとコンソメスープだった。


掃除はてんでダメだったが、やはり料理の方は上手かった。とくにカレーは市販のルーを使ってるはずなのに、スパイスから作っているカレーにも優るとも劣らない味だった。


飯を手短に済ませ風呂に入ることにした。俺はなにもやっていないとはいえ、長時間梅雨のお陰で湿った森の中にいて、高湿のなか往復10kmの道を日に照らされながら移動したのだ。結構な量の汗をかいていて、浴びるシャワーはとても気持ちよかった。備え付けの椅子に座り、頭を洗っていると。ガラガラと風呂の扉が開いた。


「はっ!?」


思えば、俺はこのときから間違っていたのだ。まず、カギが付いていたのに風呂の扉の鍵をめなかった。そして、急な出来事とはいえ後ろを振り向くべきではなかった。


「疲れていると思ったので、お背中流しに来たのですよ~」


そこにいたのは、一糸纏わぬ姿の瑠璃がいた。


「ば、バカ野郎!なんで服きてないんだよ!?」

「え?お風呂に入るんだから服は脱ぐのがマナーなのですよ?」


さも当然いった具合にとぼけた。


「人が風呂に入っているときに突入してくるやつにマナーなんで言われたくねぇ!というか、今すぐ出てけ!」

「ほー、そう言うこと言うんですの…?なら、この部屋は誰の部屋ですの?そして、この部屋の主は誰ですの?」


ぐっ……、それを言われたら俺は弱い。実際、家賃や水道代、光熱費、食費を出しているのは瑠璃だからだ。


「その上、お背中まで流してあげると言っているんですから、黙って流されるのですよ」

「背中を流すのは別だろ!」

「別じゃありません!一緒に寝るのと一緒にお風呂に入るのは、部屋を貸してもらっている陽翔君にとっての義務!そう、等価交換なのですよ!」

「俺の負う対価の方が圧倒的に大きい気がするのは気のせいか!?」

「なにをおっしゃる!プライドや貞操でご飯が食べれますか!?さあ、わかったら黙って洗われるのですよ!」


言い分は無茶苦茶だったが、無理やり前を向かされ、流れに流れ背中を洗われた。


「うんしょ、うんしょ……、陽翔君は背中が大きくて洗いにくいのですよ……。あっ!こうしちゃえ……えいっ!」


恐らく、身長差的に洗うのが大変だったのだろう。気づいたら瑠璃は背中を洗っていたナイロンタオルを床に置き。背中に抱きついてきた………。


そう……………………裸で。


「ちょっ!何やってんだ!いろいろとアウトだから、今すぐ離れろ!」

「え?何がアウトなんですの?詳しく説明してもらえますか?」

「だ、だから!お前のあれが当たってるんだってば!」

「なにが?どこに?もっと詳しく説明してくださるなら、考えてあげてもいいのですよ?」

「あぁもお!お前の胸が俺の背中に当たってるんだよ!」

「ああそうですの」


と言って、瑠璃はシレッとした顔で離れず洗い続けた。


「おい!ちゃんと言ったんだから、早く離れろ!」

「え?考えるとは言いましたけど、離れるとは一言も言ってないのですよ?」


は!?こいつ……!


「ふざけんな!」

「あら?そんな大声出したら。他の部屋にいる先生たちに聞かれるのですよ?」

「ぐ………。お前…!」

「ほら等価交換、等価交換。黙って洗われるのです」


こいつには是非とも等価交換と言う言葉を辞書で100万回調べてもらいたい。


そんなこんなあって、俺は瑠璃が洗い終わた瞬間に体を洗い流し光の速さで体を拭き、服を着て脱衣所から逃げ出した。


ちなみに、体の前の方は10分ほど粘り勘弁してもらった。


「はぁ……、風呂の方が練習より疲れた気がする………」

「まあ!なにがあったんですの?」

「お前のせいだろうが!」


そんな会話を、瑠璃とベットの中でしていた。


「それより、水原の方はどうだった?」


そんなとき、ふと気になったことを聞いてみた。


「ダメですね。確かに使える魔法のは多いですけど、魔法の発動速度がまだ遅いですね。3時間ぶっ続けで、かすりもしなかったですからね」

「そうか……、アイツには頑張ってもらわないとなのにな…」

「正直、5日で私に当たるのは厳しいですね。狙い目は悪くないんですが、攻撃パターンが単調で丸わかりなのですよ。後半なんて、私に魔法すら使わずに避けられたのですよ」

「いざとなったら、『あれ』やって構わないからな」

「りょーかいなのです!そっちはどうだったのです?」

「あ?全然。予想以上に酷かった。こっちも5日じゃ間に合わないかもしれないな」

「もし二人ともダメだった場合はどうするんですの?」

「そのときは、俺1人でやるよ」

「まあ、実際。陽翔君1人で十分なんですよね…」

「でも、それじゃあダメだ。俺が『力』を使うのは本当にダメだったときの最終手段だからな」

「わかってるのですよ。陽翔君がオイソレと『力』を使えないことぐらいは」

「それならいい。ほら明日も速いんだからさっさと寝るぞ」

「なら、早く寝れるように抱っこしてくださいですの」

「はぁ……ほらこっちこい」


一々反論してると無駄に時間が食う上に疲れるから大人しく瑠璃の言う通りにして。俺は、眠りについた。

諸事情により投稿が遅くなりました。

次回、陽翔の秘密が明らかに?


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