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戦いの後で

続きます。

 誰もいない公園の適当な場所に着地して、神奈木麗良に戻る。


「疲れたー!」


 そのまま足元の芝生にデーンと座り込む私。ドッと疲れと汗が出て来るのだ。

 戦士に変身して魔獣と戦うと、こんなに体力を消耗するとは思わなかった。


 喉が渇いた!


 周りを見ても水を飲める場所は無い。でも幸いにも、近くに清涼飲料水の自販機が置いて有る。すぐに自販機でペットボトル入りのミネラルウォーターを買って一気に飲み始める。ぶはーッ! カラカラの喉が潤い、スッキリとした気分!

 敷石の段差に腰を下ろして飲み続ける。

 私のスマホの着メロが鳴った。杏奈から電話である。


「今、どこにいるの?」

「え?」


 いったい、何の事か…


「え、じゃない! ずっと麗良を探しているんだよ! どこにいるの?」

「あ、えーっと!」


 困ったな! 今、学校近くの凸凹公園にいるって言う事なんか言えないし、どうしよう? 校内にいるよと、適当な言葉を並べて答える。


「早く教室に戻って! 緊急のホームルームが始まるよ!」

「分かった分かった! すぐ戻る!」


 私はすぐさま、駆け足で学校へと戻って行った。


 緊急のホームルーム。そうなのだ。

 この後、午後から授業も部活も全て中止となり自分たちは全員帰宅となったのだ。

 これはラッキー! 初めて経験で疲労していたから、すぐに帰れて嬉しい気分となった。


 私は杏奈と、美代子と一緒に帰宅と途に付いた。杏奈が質問して来る。


「麗良は休み時間、どこ居たの?」

「あ、私? えっとねー」


 美代子が口を開く。


「私と杏奈が食堂でゴハン済ませた後、そのまま話し込んでいたら千聖が血相変えて食堂に駆け込んで来たじゃない。今度は出入り口の方で悲鳴が上がって何だか大騒ぎ。そしたら、得体の知れない大きな怪物が食堂内に入って、もうビックリだったよ」

「校内の緊急放送で言っていたよね? 食堂に怪物が乱入したって」

「しかも、千聖を追いかけて来たって言うからワケ分からなかった」


 質問してみる。


「それで、アンタたちどうしたの? 逃げられたの?」

「私は逃げられた。ところが杏奈がね」

「杏奈が?」


 杏奈が青い顔をして恐怖を語ってくれた。


「怪物がコッチに向かって来て、怖くて逃げられなかったよ。慌てて千聖に駆け寄ったしね」

「そっかぁ、怖かったんだね」


 なるほど、それでグロリアスの前で2人寄り添っていたって言う構図だったのか。


「麗良は、どこにいたの?」と杏奈。

「裏庭の物置小屋の中だよ」

「物置小屋の中?」

「私も怖かったしね。もし目が合ったら襲われるかもしれないと思って、安全の為に隠れていた。まあ怪物はどこに現れるのか分からないから、ここなら安全だよって言えないけど」


 美代子が冗談めいた事を言う。


「ケンカが強い麗良だったら、怪物なんか平気だと思っていたけど」

「いやあ、さすがに怪物はぁ!」と私は苦笑い。


 あの怪物を倒したのは私だよ。こう言いたいけど、黙っておく。


「千聖、今はどうしているのかな? さっきメール送ってみたけど、今は取り込み中で話すヒマもないと返事が来たんだけど」


 杏奈の問いに美代子が答える。


「警察の事情徴収を受けているみたいだよ。怪物と真っ先に遭遇した張本人だって言う事でね」

「そう言えば警察がイッパイ、来ているよね?」

「マスコミも来ているしね」

「夕方のニュースで話題になるなぁ。世にも珍しい不思議な事件だし」

「レイラシルビアって言っていたっけ? その人、どこにいると思う?」

「正義の戦士って、普段は一般人の姿でフツーの生活をしているって言うパターンが多いじゃない」

「もしかしたら、普段は聖薔薇ヶ丘の先生で過ごしているのかな? 或いは生徒」


 いきなり、杏奈は私の方に振り向き、ジッと見つめ始めた。

「麗良が、その…レイラシルビアだったりして」

「え?」と、美代子も私を見つめる。

「私?」


 2人から注目され、私はドキドキ気分になった。説明する杏奈。

「レイラって、同じ名前だしぃ」

「そう言えば、そうだよね?」


 私は苦笑いしながら反論する。


「偶然だよ偶然。同じ名前だって事だよ。この私が、正義の少女ヒロインの格好するワケがないし。別の人だよきっと」

「でも麗良ちゃんって、他の女のコとは違うモノを持っているし」

「超人的な運動能力を持っているし、正義感強いから」


 それで私が、正義の戦士に?


「だからと言って、私がレイラシルビアになるワケがないから」


 こう苦笑いしながら、正義の女性戦士変身説を否定する私だけど、内心はハラハラした緊張感を抱いているのだ。バレたら、どうしようって。


 夜、私は千聖と電話で語り合った。

 魔物騒動が起きてからずっと、慌ただしい時間を過ごしていたから千聖とは顔を合わせる機会がなかったから、こうして夜の電話トークとなったのだ。


「如何でした? 聖なる戦士となった気分は」

「不思議な気分だったよ。何とも言えない特別な感覚だったし。敵と戦った時は、マジ…ハードだった。元の私に戻ったら、汗や疲れがドッと出ちゃった」

「身体の方がまだ、慣れていないかもしれませんね。その内、段々と慣れて来るでしょう。ただ戦士として戦うとなると、かなり体力を消耗しますから日頃の体力作りと健康管理が重要になって来ますわ。明日から臨時休校で時間も有りますから、取り敢えずはゆっくりと休んで下さいね」

「今日の戦い方で良かったのかな?」

「初めてにしては、まあまあ上出来ですわ」

「一躍、有名になったよね? レイラシルビアは」

「まあ、必然的にそうなるでしょう。あれだけ群衆の目の前で派手に動いていますから」

「RPGファンタジー的な事が目の前でリアルに展開されたら、世間も黙っていないしね」

「そうですね」

「千聖も有名になったよね?」

「警察やマスコミの人たちから色々と質問されましたわ。どこで怪物と遭遇したのか?ずっと追いかけられたのかって」

「グロリアスは千聖のクラスの女のコに化けていたって答えたの?」

「怪物はアニ研の部室に潜んでいて、私は偶然そこを通りがかったら、怪物と目が合ったって誤魔化して答えましたわ。怪物の名前も伏せていましたし」

「本当の事は言わなかったんだね?」

「色々とツッコまれると面倒だし、説明するのも時間が掛かると思いますから事実は話していませんの。麗良美代子が正義の戦士に変身する事も伏せていますから」


 私が戦士に変身する事も重要機密事項であると千聖は説明する。

 周りの人間は元より家族にも内緒と言う徹底ぶりで、敵に察知されないようセキュリティは万全だと言う。千聖が使う超能力的技も機密事項のようだ。

 そうかそれで。食堂でグロリアスに追い詰められた時、敢えてパワーを使わなかったのは周りの人間たちに知られたくない為だったのだ。

 千聖の説明では、自身のパワーとかは人間には絶大な効果は有っても、魔物類とかには効かないとの事。せいぜい驚かす程度との事らしい。


 グロリアスは地獄へ強制送還になったと千聖は説明した。

 元々は地獄の刑務城へ投獄されて生活していた時にグロノス神派が解放して、人間界に来ていたらしい。グロリアスみたいに地獄界から来ている魔物たちは人間界には沢山いると言う話しだから、何だか厄介な話し。

 それら1匹1匹を探し出して捕らえ、地獄界へ送り返すのもレイラシルビアの重要な役目だと言う。


「戦いはまだまだ、続くだよね?」

「麗良美代子にとっては始まりですから。長く苦しい仕事になりますわ」

「うわ大変だよ、こりゃ」

「シルビア美代子が付いていますし、私もフォローしますから頑張って下さい」

「何とか頑張ってみるか」

「そうですわね?」


以上で終わりです。

機会が有れば、続きを。

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