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そして変身!

続きです。いよいよ神奈木麗良は!

 これで終わりかなって思っていた時、私の身体は宙に浮いた。…と言うより、何かに乗っかっているような感覚を受ける。(麗良は半透明の絨毯に乗っている)

 仰向けの状態のまま横たわり、そのまま超スローで降下して行っているのが分かる。その時、どこからともなく男性の声が聞こえて来た。


「選ばれし者よ、聞くが良い」

「誰?」


 私は声がする方に顔を向けようとしたけれど、身体が金縛りに遭ったような状態で身動き出来ない。男性の声が響く。


「かつて天空の世界では、聖神派とグロノス神派の二つの系統の神々が全宇宙の統治権を巡って争っていた。圧倒的な力を持つ我々、聖神系統の勢力が勝利し争いは終わったかに見えた。だが、グロノス神系統の者たちは敗北を認めず尚も抵抗を続けた。

 愚かにも、地獄界で幽閉された悪魔たちを解放して同盟を結ぶと言う愚劣な行為を行ったのだ。

 更に悪魔たちと結託し、一体化したグロノス神系統の神々は魔族系統に変貌した。

 全宇宙を我が物にせんと活動を開始した愚か者たちは、地盤を固めるべく地上に降り人間界を支配しようと目論んだのだ。

 愚か者たちの陰謀による危機感を抱いた我々は神界聖霊軍に所属する聖女戦士シルビアを地上に派遣させた。神奈木麗良、汝には神々との契約の元、共に戦う聖使命を託した。高熱の発症は身体の毒気排泄と浄化の為だ。その間、美月千聖を使って光の洗礼を施した。清浄なる身体にする事でシルビアが宿れるようにしたのだ。戦いは始まっている。シルビアと共に心して行く事を期待する。聖なるパワーと共に」


 地面に着地し仁王立ちした私。

 不思議な感覚に我を忘れているような思いになっていた。

 額に何かがキラリと光る。無意識に両腕を上げ、自分の顔辺りでクロスさせた私。

 そして!

 両腕(左右共に手はVサイン)を左右斜めに上げ伸ばししながら声を上げた!


「しるびあーッ!」


 次の瞬間! 私の身体は黄金の光に包まれた!

(この時、聖霊シルビアが舞い降りて来て麗良の身体に宿る)


 光が消えた時、私の姿は変わっていた。

 白と赤系の半袖・切れ目の入ったロングスカートのワンピースっぽい衣装に下はブーツ。腕には茶色のリストバンドを付けて、ファンタジーに出て来る正義のヒロインっぽい姿をした女性に。手には金色のS字型のモールや宝石のダイヤモンドの飾りが付いた長いマジカルステッキを持っている。

 

私の人生にとって初めての経験であり、宿命なのかもしれない。

 次元を超えた存在になるとは思ってもみなかった。


 戦闘聖少女レイラシルビア…、それが今の私である。


 私は校舎を見上げた。グロリアスはまだ、あの部室にいるのだろうか?

 千聖は大丈夫?

 私はジャンプし(背中に金色の翼が生える)、4階の方へ飛翔した。

 割れている窓ガラスから部屋の様子を伺ってみる。中は誰もいない。

 私はココから部屋の中へと入って行った。

 中は椅子や長テーブル、パソコン類が散乱している。本棚やラック類は全て倒れ、DVDとか書籍類、資料類が散乱して足の踏み場もない状態になっている。

 アニ研の部活再開には先ず、部屋の片付けが先だよね?

 廊下側の壁に大きな穴が開いていて、ドアが廊下に落ちていた。

 私は窓ガラスを突き破って外へ投げ飛ばされた後の部屋の様子を透視してみた。


 グロリアスは千聖に迫っていた。

 丸腰状態の千聖だから、自分の身を守る術は持っていない。逃げようにも魔物との距離が短いから逃げられるスキさえも無い状態なのだ。

 千聖にグロリアスが襲い掛かった! するとどうだろう?

 千聖はサッと右腕を突き出し、手のひらを大きく広げたじゃない!

 手のひらには金色の光る球体が! グロリアスは球体の眩しさに驚き目を背けた。


 千聖の行為は、カリン繁華街でごろつき連中の動きを止める為に使ったハンドパワーかもしれない。生身の人間にはかなりの効果は出ていたけれど魔物に対してはどうだろう? 苦しみにグロリアスは気合を込めて片方の伸ばし、千聖の右手を強く払い除けた! やはり効果無し?

  千聖は右手を払い除けられた反動を利用してクルリと1回転し左手をサッと突き出した。同じように光る球体が現れて、グロリアスを苦しませる。

 千聖は両拳を胸の辺りでクロスさせて、今度は両腕を同時に突き出す態勢に出た。 同時にパッと開いた手のひらから現れた球体が合体して大きな球体となり、グロリアスに体当たりした。衝撃でグロリアスは後ろへ飛ばされて壁に激突!

 後ろの棚が倒れて本類が散乱した。

 千聖は隙を見て部屋から逃げ出した。少し間を置いてグロリアスが壁を突き破って飛び出して来た。物凄い形相で走りだす。千聖を追いかけるつもりだ。


 廊下や踊り場等で悲鳴が上がった。奇怪な姿のモンスターがいきなり走って来るものだから、居合わせたコたちが驚愕してパニックに陥ったのだ。

 逃げ惑うコたち。教室から顔を出した先生がグロリアスの姿を見るなり慌てて中へと入り、中にいるコたちに指示を出している。

 校内放送が流れた。生活指導の徳永先生(男性)の声である。


「学園内にいる先生方や生徒たちにお知らせします! 得体の知れない大きな生き物が校内を暴れ廻っております! 危険ですので、それぞれの場所で動かないようにして下さい! 現在、生き物は食堂内に侵入している模様です! 繰り返します…」


 特別実習室とかイベントホール、講堂とかが入っている総合棟の1階に有る広い校内食堂の事だ。千聖は無我夢中で食堂へ逃げ込んだから、グロリアスは中へと侵入したのかもしれない。私は外へと飛び出し、総合棟へと向かった。


 眼下では数多くの仲間たちが逃げ回っている様子が見える。

 総合棟を上空から見下ろしてみる。同じように出入り口から多くの仲間たちが飛び出して来ていた。その場所へ降下して着地。建物の中の様子を見る。


「え? なーに?」

「誰、このコスチュームの女のコ?」


 周りいるコたちの視線が一斉に私に集中した。殆どのコたちは薔薇ヶ丘の制服着ているのに、私だけ場違いの派手な衣装を着ているから注目浴びるのも無理ないか。


「君だーれ? 何でこんな格好しているの? 学園内でコスプレ?」

 声を掛けて来たのは男子。3年A組の刈谷先輩である。先輩とは親しいから私は知っているけど、先輩の方は私に気付かない。殆ど別人の姿になっているから認識出来るワケがないけど、でも何だか妙な感じだよね?

 私は周りの声掛けを無視して、すぐに中へと入った。


 いたいた! 広い食堂の奥にグロリアスの姿は有った。

 千聖と対峙している。千聖は緊張した様子でグロリアスと向き合っている。

 何と杏奈も一緒だ。恐怖に怯えて千聖に寄り添っている。


「もう逃げられないよ! 覚悟しな!」


 グロリアスは辺りに散乱している椅子を次々と千聖たちに投げつけた。

 杏奈を援護しながら、次々と飛んで来る椅子を交わして逃げる千聖。

 私はダッシュし、右横からジャンプしてグロリアスにスピンキックを浴びせた。

 私たちより一回り巨体が激しく倒れる。千聖と杏奈が私の所へ駆け寄って来た。


「シルビア! 来てくれましたわね!」と千聖は笑顔。

「何とか間に合ったわ!」


 杏奈が千聖に尋ねる。


「千聖、この女の人知っているの?」

「えーっと」


 その時、いつの間にか近くにいた美代子が叫ぶ。


「怪物が起き上がるよ! みんな逃げて!」


 見ると、確かにグロリアスが起き上がっている。これはヤバいよね!


「千聖さん! 危ないから2人を連れて外へ逃げて!」

「了解!」と千聖は挙手して敬礼した。


 私と千聖は無言でニッコリと微笑み、共にうなずいた。


 3人が外へ逃げて行くと、私はグロリアスと向き合った。

 私をただ者でないと察したグロリアスは警戒の眼差しでコッチを見る。


「お前は誰だい? 見た事ない女だねー」


 ステッキを構えた私。


「我が名はレイラシルビア! 悪を成敗しにやって来た! 獣魔女グロリアスよ、神々の裁きを受けよ!」

「バーッカ! 何が神々の裁きだよ!」


 グロリアスは口を大きく開け、あの長い舌を伸ばして来た。

 私はジャンプし、舌の攻撃を交わす。隙を見てステッキで舌を叩き落すと、グロリアスは尚も私を警戒する。


「ここでは狭すぎる! 表へ出よ!」と顎で合図すると、私は外へと駆け出して行った。グロリアスが後を付いて来る!


 グラウンドへ駆け出して来た時、グロリアスから背後を突かれてしまった。

 体から飛び出して来た長い触手に胴体を巻き付かれて激しく振り回されてしまう。

 投げ飛ばされた先はグラウンドの正面にある野球用の高いフェンス。

 間一髪の所へ私はフェンスを踏み場にして高くジャンプした。

 この後はグロリアスとの攻防戦が続く。私はステッキをバトン演技のように振り回ししたりしながらグロリアスを何度も打ちのめす。

 グロリアスは手足や長い触手を巧みに動かしながら攻撃して来る。

 口から透明の球体を放ったグロリアス。それは衝撃波である。私はサッと除けて、球体の攻撃を免れた。衝撃波球体連打に依る攻撃は続く。この状態では、流石に避けるのは容易ではない。


「こうなったら!」


 私はステッキを素早く回転させると、現れた光のディスク型バリアで球体攻撃を避けた。タイミングを見計らい、光るディスクをそのままグロリアスの顔面にぶつけた。これはかなりの威力かも。体長2メートル以上もある巨体が後ろへ吹っ飛ばされたのだから。グロリアスは立ち上がるなり、全身を赤く光らせた。

 そして口からは、今度は赤い熱線を吐いたじゃない! 物凄い威力を持つ熱線である。人間なんか直撃を受けたら即、焼滅してしまうだろう。

 私は激しく動きながら熱線の猛威を避けた。

 自分の吐く熱線がなかなか命中しない事に苛立ったグロリアスは、より強烈な熱線を吐いた。向こうが熱線なら、コッチは光線で対抗である。


 両腕を左右水平に保った後、素早く胸の辺りで両拳を付き合わせる。

 そして一気に両手を前に突き出して七色の光線を発射!

 鮮やかに瞬く光線が宙を飛び、熱線と空中衝突! 激しく爆発して物凄いが火花が辺りに飛び散った。衝撃で私もグロリアスも後方へと飛ばされた。


 私は素早く立ち上がり、再びステッキを手にした。先端をグロリアスに向ける。

 金色のモールに光が走り始め、クリスタルから七色のビームが放たれた。

 光に包まれたグロリアス。


「汝、地獄へ戻れ」


 左手を突き出した私。グロリアスは眩い光と共に消滅した。


 こうして、攻防戦は終了した。


 ウワーッと回りから拍手と歓声が沸き上がった。

 私は周囲を遠巻きに見ていた制服集団に囲まれているのだ。

 ワケ分からない怪物が学園内に出現して暴れるし、私みたいなコスプレ格好の女のコが登場して怪物と戦うし。悲日常的な騒動…しかも超リアルのファンタジーが起きたのだから注目を浴びないハズがないのだ。ホラホラ、制服集団が私の所へ歩み寄って来たじゃない。矢継ぎ早に質問が飛んで来るし。

 男子なんか私の体をベタベタ触ってスケベ。


「お姉さん、どこから来たんですか?お名前は?」

「本物の正義のヒロインですか? 宇宙人? それとも女神だとか?」


 一躍、注目を浴びちゃった。色々と話しをしてもイイけど、私はタレントじゃない。スマホやiPhoneとかで写真撮るコも少なくない。少しばかりポーズを取って写真サービスに応じて上げる。キレイで、美しくて、カッコ良くて、チョットばかり色気が有って、戦闘聖少女らしくポーズを取るのだ。

 任務も終わった事だし、いつまでも戦闘聖少女のままでは変なので退散しちゃおう。後ろの方にいる男子の1人が叫ぶ。


「名前教えてくれないか⁉︎」

「戦闘聖少女レイラシルビアよ! 宜しく! じゃあ又ねー、みんなぁ!」


 お茶目にウィンクした私は手を振って飛び去った。






ついに登場しましたね戦闘聖少女レイラシルビア!

何だかねー。こんな声が聞こえちゃいそう。

「これ、何かのパクリ?」

続きます。

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