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夢の中での不思議な出会い

続きです。

 体調は良くなり学校へ来られるようになった私は昼休み、千聖と一緒に校内の部室へと足を運んだ。そこはアニメ研究会の部室で、実は私も部員になっている。


 部屋の中は私と千聖の2人だけ。誰かが後を付いて来る気配を千聖が感じているみたいだけど、別に気にする事はないだろうと思って無視した。


 折り畳み式の高テーブルを挟んで椅子に腰掛けた私と千聖。彼女と来たのは、2人だけで話しが有るからだ。これには他の誰にも言えない秘密の話しである。

 さっそく私から切り出す。


「千聖について、語ってイイ?」

「私の、事?」

「ずっと私が思っている事なんだけど。喋ってイイかな?」

「どうぞ」


 私は今まで心に抱いて事を話し始めた。


「千聖と付き合ってから私、特別な出会いを感じていたんだよね」

「特別な出会いって?」

「千聖に何度も接していると不思議と、そう感じてしまうの」

「私とは特別な関係って事ですか?」

「別にレズ関係じゃないけど、私と千聖って友達以上の深い関係だと思っている。

しかも2人だけのね」

「私と、特別な深い関係だなんて。光栄ですわ」


 ステキな笑顔を見せる千聖。私は話しを続けた。


「それに千聖自身、他の女の子には無い特別な何かを持っているよね?」

「どんな?」

「ほら、この前の夜にカリンでチンピラ連中をハンドパワーでおとなしくさせたじゃない?」

「ああ、あの時ですね」

「そのハンドパワーも、そう言った特別な何かだと思うし」

「別に大した事では有りませんわ」


 ええ? 大した事じゃない? あんな凄い不思議な力をあまり、意識していないのかな? 自分の特別な事に慣れっこだから?


「あれって、誰でも出来る能力じゃないよ? 千聖ってもしかして…」


 ストップ!

 千聖はサッと手を上げて話しを止めた。私は口を開けたままキョトンとなる。


「ゴメンなさい。私の事を色々と知りたい事があるようですけど、今は何も教えられませんわ。いずれ、機会があったらお話ししますから」

「ハァ…、わ、分かった」

「ところで、私にだけ何か話しがあるのでしょう?」

「うん。夢の話しの続きだけど」

「続きを聞かせて」


 私は例の夢の事について、杏奈や美代子の前では話さなかった事を千聖に打ち明けた。本当に不思議な夢だったから、私は今でも何とも言えない気分に浸っているのだ。


「本当はね! 私ィ、その女の人と会話していたんだよ! 本当だよ!」


 他のコたちの前で喋りたくて、ずっと我慢をしていたから私は興奮気味になっている。


 千聖は何の動揺もせず、落ち着いた態度で私に質問した。


「その御方、どんな人なのですか? 名前は仰っていました?」

「名前は言わなかった。でも怪しい人ではないと思う。暖かそうな雰囲気で、凄く理性の高そうな感じの人だった。私より背が高くてスタイル抜群だし、ひょっとしたら女神様かもしれないよ」

「どんな会話していたのですか?」

「会話と言うより…、頼まれたって言ったらイイかな?」

「頼まれた?」


 私は女神らしき高貴な女性が語った事を今でも覚えている。


 この地上では既に、グロノス魔族の陰謀による悪の手が伸びており、このままだと人類は支配されてしまう。もう既に始まっているかもしれない。

 …女性の訴えは要約するとこんな内容になる。


 女性は陰謀を阻止する為、神々の命を受けて聖霊界から来たようだ。地上界では私たちの姿は見えないから、肉身を持った人間の身体を借りる必要が有ると言う。

 だからと言って誰でも良いと言うワケにはゆかず、それなりのレベルを持った者を見つける必要が有るとの事。


「強靭で且つしなやかな身体、抜群の運動能力、優秀な頭脳、どんな困難でも耐え抜く精神力と強い正義感。これが絶対の条件。調査の結果、私が全ての条件が揃う人だと分かって選ばれたみたい」

「女性の方から頼まれたですか?」

「これからは戦士として私と共に戦って下さいって、お願いされちゃった」

「それで、麗良さんは何て返事したのですか?」

「思わず、ハイやらせて頂きますって言った」

「素直ですわね? OKするなんて凄いですわ。どんな気持ちでOKしたの?」

「相手の雰囲気に圧倒されたからね。正直言うと、眩い光に包まれて凄く高貴で清らかな感じに心が酔いしれていたし。考える事なんて頭になかった」

「なるほど」


 この事について私は質問した。


「千聖は私の不思議な体験を、どう思う?」


 聞き返して来た千聖。


「麗良さんはどう思っているのかしら?」

「単なる…、夢ではないような気がする。本当に私、選ばれし勇者になったかもね」

「もし現実だとしたら…、麗良さんはそれを…、受け入れるつもり?」

「自信はないけど…、やってもイイかなぁ…って思っている。夢の中でね、千聖から是非やってみたらって勧められたし」

「まあ、私が夢の中に出て来たのですか?」

「同じように純白柄でオシャレなフワフワのロングドレスを着ていて、頭にティアラを付けていた。王女様って雰囲気だったよ。千聖はどうも、その女性と知り合いのようだった」

「その高貴な女性の要望を麗良さんは聞き入れてくれたのですね? 素晴らしいですわ」

「ただの夢じゃない…よね?」

「その不思議な女性の方と本当に会ったと言えば信じますか?」

「夢じゃ…ないって事?」

「女性は霊のような存在だから肉眼では見えない。だから夢の中で姿を見せるようにしたって説明したら?」

「やはり、実在する人なのかな?」


 次の日も、私と千聖はアニ研の部室へ来た。

 同じように誰かが私たちの後を付いて来ている。しかも同じ人物。取り敢えずは無視を決めておこうと千聖は言う。

 その千聖は持参して来た手提げをテーブルに置き、中から1冊の本を取り出した。

 大きさはB4ぐらいの古い本だけど、豪華な表紙がとても美しい。


「これを、ご覧になって」


 千聖は本を開いてページをめくり、或るページに来ると広げたままテーブルに置いた。私は本を手にして見た。


「こ…、これ!」と、ページに載っている絵を見て私はビックリ!


 骸骨の顔をした悪魔と戦っている、長衣姿の若いキレイな女性が描かれているのだ。


「私が小さい頃から持っていました宗教絵画の本ですわ。麗良さんに絵を見てもらうと思って家から持って来ましたの」

「これこれ!」


 私は慌てて、自分のスマホを取り出して写真をアップした。杏奈がスケッチブックに描いてくれた例の絵を私は写真撮影していたのだ。写真と絵を見比べてみる。


「どうしたのです?」

「これを見て! ソックリだけど!」


 私に促されて、千聖は写真の絵と額縁の絵を見比べた。


「まあ、杏奈が描いてくれた女の人の絵と似ていますわねぇ?」

「この女性はいったい何者なの!? 千聖は知っているよね!?」


 千聖はチラッとドアの方を確認した後、説明を始めた。


「名前は…ロベリア。聖霊界に住む聖女の1人で女神に近い高貴な御方ですわ。音楽や芸術を司る御方ですし、神界聖霊軍の女性エリート戦士でも有りますのよ」

「神界って?」

「神界と言うのは神々様が住んでいます次元の高い清らかな世界。霊界よりも遥かに次元の高い世界みたいですから、私たち人間は亡くなっても絶対に行けませんわ」

「聖霊軍って、武器を持って戦う…」

「聖霊軍って言うのは神界での防衛の役目を司る一種の軍隊ですわ。神界に近い次元に聖霊界と言う世界が広がっていますけど、そこの世界に住む清らかで聖なる人たち…神々に近い人たちの中から優秀な戦士たちが集められて組織化されたって言う古い記録が残っていますわ」

「神様の世界でも戦争をやっているの?」

「世界中で密かに残されている文献から、超太古では神々による正邪の戦いが行われたと言う説が明らかになっているのです」


 私は絵に注目した。



 シュバッ!


 え!? 目の錯覚だろうか!?


 一瞬、本の絵がフラッシュして私は驚いた。


「何ィ、今の!?」

「どうしたのですか?」

「絵を見ていたら、何か強い衝撃を受けた!」


 私ったら、1人でパニックになっている。千聖の方は終始冷静になっているのに。


「聖女ロベリアが麗良さんに、ご自分の存在をアピールしたのかもしれませんわね?」

「じゃあ、私の夢で出会った聖女は本当に実在するんだ?」

「結論から言いますと、そうですわ。実際に、遥か大昔に邪神系統の魔物たちと戦っていたのですから」

「その聖女が私に勇者になって欲しいって言って来た」

「もう既に、貴女は勇者になっていますけど」

「なって…」


 ストップ! 千聖は又、手を上げて話しを制しした!


  警戒の眼差しでドアの方に視線を送る。

 誰かがドアの所に立って、私たちの会話を聞いているのを千聖が感じたのだ。


 何者かは、千聖には既に分かっているみたい。






2人の会話を盗み聞きしているのは誰?

続きます。

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