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不思議な夢

続きです。

麗良が病気にかかります。でもこの病気はただの病気は無いのだ。

千聖が不思議な事を行い、麗良の病気と関わって来る。

 翌日…

 学校で私と千聖は、昼休みを利用して校舎の屋上で語り合った。

 お互いの近況、悩みとか気になっている事、杏奈とか美代子を初め他の人たちの話題、学校での面白い話題等々…

 女のコ同士の会話って、色んな話題が出るものだから話しが尽きないものだ。

 私自身が体調に異変が起きるようになったのは、千聖と親しくなって1週間ぐらいしてからだろうか? 


 この日は朝、目を覚ました時から身体が何となく重い感じがしていた。

 咳は繰り返し出ちゃうし、とても熱っぽい。


「麗良、風邪?」


 美代子が心配な顔をして私に話しかけて来る。重い口調で返事をする私。


「うーん何だかねー、今朝起きた時から身体が気だるくてねぇ。変な感じだよ」


 杏奈は私の額に手を当ててみた。


「チョット…、熱っぽいよねー?」

「保健室へ行ってみたら?」と美代子が促す。

「これくらいは平気だから行かなくてもイイよ」

「でもぉ」

「大丈夫、我慢するから。今日は土曜日だから午前中で帰れるじゃん?」


 私はこう、強気に言って我慢をする事にした。


 バカだよね私って。


 素直に言う事を聞いて保健室へ行けば良いのに。ついつい見栄を張って、タフな自分である事を変にアピールしてしまうから首を縦に振らないのだ。


 そして、そんな見栄が仇となって悪い事態になってしまった。

 3時限目の授業が終わって、私は倒れてしまったのだ。

 あまりの辛さに急に意識が朦朧となり、そのまま目の前が真っ白になっちゃった。


 その後、私はどうなったのかと言うと…

 すぐに保健室へ運び込まれてベッドに寝かされた。

 担当の先生の簡単な診察の結果、熱は39度以上も有って症状は酷いとの事。

 私は凄く苦しくて、ずっとハーハー言いながら荒い息をしていた。

 酷い症状に危機感を抱いた先生は救急車を手配し、私は病院へと搬送された。


 後日、千聖が杏奈や美代子、同じD組クラス仲間の椿や莉央、彩美たちと一緒に病院に見舞いに来てくれた。 

 この時の私は熱が一向に下がらず昏睡状態になっていた。


 千聖は時間を見つけては1人でお見舞いに通うようになった。

 そう。得意なヒーリングで私の症状を少しでも和らげるつもりなのだ。

 私が入院している聖アリス病院は千聖の父親の知り合いが経営している事を後で知った。私が特別個室に入れたのは、千聖に対しての理事長自らの計らいによるものだった。広い1人部屋だから、他人の目を気にせずに堂々と施しが出来る。

 聖なるヒーラー美月千聖にとっては格好の場所とも言えよう。


 その日の夜、千聖は1人っきりでヒーリングを行っていた。自己の精神を集中させ、両手をかざすのだ。眠ったままの私の身体に向かって、両方の手のひらから七色の光が放射されるのだ。


「せんし…として…」


 夢を見ている私が呟いた。


 既に、千聖の心の中では1つの答えを得る事になった。



 神奈木麗良に…



 決めた…


 施しを続ける内に私の身体は眩い金色の光に包まれた。

 千聖は施しを中断して、静かに瞑目合掌を始める。

 シャツにセーター、ジーンズのラフな私服姿の千聖は光に包まれて、ゆっくりと純白のロングドレスの衣装に変わった。頭に花柄のティアラ。金色の首飾りを付けた千聖は、お伽の国の王女様ってイメージである。

 目を開け、少し背伸びをするような感じで両手を左右斜めに上げた千聖。

 遠くを見つめるような真剣な眼差しでセリフを口にした。


「今宵は我…、神々の御名の許に…、聖霊の御名の許に…、神奈木麗良を戦闘聖少女に指名する事を…、聖霊として要望致します。この選ばれし者に対し…、契約締結のお許しを」


 するとどこからか、男性の声が聞こえて来た。


「神奈木麗良だな? 我々も以前から注目していた人物だ。戦闘聖少女として契約締結を了承する。神界聖霊軍の良き協力者として、シルビアと共に活躍する事を神々は期待したい」


 頭上の天井辺りに眩い金色の光の塊が現れた。光の塊は下に舞い降りて来て、私の額に接触してパーンと弾けた。笑顔で頷いた千聖は、その場で跪き頭を垂れて祈りを捧げた。


「契約締結のお許し…、心より感謝致します」


 この夜を境に、私の熱は段々と下がって行った。

 久しぶりに仲間がお見舞いに訪れた時には熱も下がり、私は目を覚ましていた。


「良かったー! 元気になってー!」


 一番喜んだのは杏奈だろう。人事不省状態の私を、とても心配していたのだ。

 私を見るなり、杏奈は感激して抱き着いて来た。


「麗良も大変だったよねー」


 美代子が励ましの言葉を掛けてくれた。

 この時ほど、親友とは有り難い存在だと私は強く感じた。

 私を心配してくれて、わざわざ見舞いに来てくれたのだから。


 さてさて…


 私は昏睡状態になっていた時、夢を見ていた。皆に夢の事を語ってみる。


「目の前に、光に包まれた不思議な人物が現れたんだよ」

「どんな人物だった? 宇宙人だったりして」


 美代子が反応を示し、興味津々で質問した。


「女の人だった」

「女の人?」

「純白のロングドレスを着た、凄く綺麗な女の人。頭にティアラ付けていたし」

「妖精かなぁ? それとも女神か…、うーん…聖霊っぽい感じ?」

 目をキラキラ輝かせるのは莉央である。

「見た目は人間っぽい姿だけど、どこか次元の高そうな雰囲気だった」

「何か話したの?」

「別に…、何も話さなかったよね」

「互いに、ジッと見つめ合っただけ?」

「うん、そうだね。話しかけてみようかなあって思っていたけど、何故か言葉が出なくてねぇ。ただ相手を見つめるだけだったよ」


 不思議な女性について、私は覚えている範囲で説明を続けた。

 同じように興味を抱く杏奈は持参しているスケッチブックを広げた。


「ねえ麗良、もう一度その女の人について説明してくれる?」

「え?」と杏奈に振り向いた私。


 カバンから筆箱を取り出し、フタを開けてデッサン用の鉛筆を手にした杏奈。


「ちょっとイメージしたイラストを描いてみようと思うから、どんな女の人だったか詳しく教えて欲しいの」

「ええっとね」


 私は最初から説明を始めた。背丈、顔つき、髪型、衣装、履物等々…、相手の人物像もハッキリと覚えているから、説明には不自由しない。

 杏奈は耳を傾けながら鉛筆を進めて行く。

 目は真剣で時々、私の方を見やりながらスラスラと絵を描いて行くのだ。

 実は杏奈、絵が得意でアニメとか漫画のキャラも上手に描く女のコでもある。

 自身が持つ画力の本領発揮かな? イラストはものの数分で完成した。


「こう言った感じ?」


 鉛筆をテーブルに置いた杏奈はスケッチブックの開きページを私の方へと向けた。

 え? 私は引き寄せられるかのように、視線がページの方に釘付けとなった。


「これだよ、これ! こんな感じだったよー!」

「見せて見せてー!」


 美代子の要望で杏奈はページを私たちの方にも向けてくれた。

 そこに描かれているのは、純白のロングドレスを着たキレイな女性が立ちポーズを決めている構図で、思わず感情移入したくなるぐらいの鮮やか作品である。


「へー、こんな感じー。女神様みたーい」


 美代子も椿も莉央も、スケッチに描かれた女の人の姿に関心を示した。


「まあ、この御方ですの」


 千聖が何も言わず、ジッと絵を覗き込み始めた。

 何かを感じた? 何か知っている?

 私にはそんな風に見て取れた。





続きます。

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