組織のお仕事2
「俺も椛も頭が悪いし、Piは…よくわからん奴だ。この組織に不足していたもの、それは確実な計画を練るための頭脳じゃ!」
高校時代は必死の勉強の甲斐もあり、学年で1番成績がよかった。ヒーローになることを夢見て、勉強を続け、みごとT大学に合格した。大学には高畑よりも頭がいい人はゴロゴロいて、努力だけではどうにもならないこともあるのだと思い知らされた。
必死の勉強の末、手に入れた知識も上手く利用出来ていない。そんな自分にヤキモキしていた。そこで言われた頭になれという言葉。
たとえ山根だと思われていようと、今、自分の知識が必要とされている。その事実が嬉しかった。
高畑が剛の隣の席に腰をかけた。それからまもなくして、ブォンと音をたてて、今まで真っ暗だったモニターから薄い光が漏れだした。そこには黒い帽子に黒いサングラスをした男が映っていた。
「早速だが、今回の指令を命じる。今回の指令はこの組織の名前を東京都民に広めることだ。我々の知名度を上げて、人々に恐怖を与える。これこそ東京を征服する第一歩だろう。」
黒い男は淡々と喋り続ける。
「目標は5000人、予算は1万円、報酬は出来高払いだ。では、後は任せた。」
そういい終えると質問の暇を与えることもなく、モニターはブォンと消えた。どこか影のある男。この組織のボスだろうと高畑は思った。
「さーて、指令がでたから早速仕事じゃ。計画は任せたで、鷹。」
うろたえる高畑。いきなり計画を立てろと言われても、どうすればいいかわからないのは当たり前だろう。しかも予算も限られている。
下を向いて悩んでいた。すると部屋にピロピロと音が響いた。椛はポケットからスマホを取り出し画面を確認するとマナーモードにして、再びポケットにスマホを戻した。
「また男か?」
「ご想像におまかせ致します。」
遠慮なしに失礼な事をずけずけと言う剛に対し、椛はにこりと笑顔を作った。
「いい案が思いつきました。」
剛と椛のやり取りを聞いて、高畑に良い計画が思いついたようだ。自信満々の表情を浮かべている。