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夢
「そろそろ終わりにしよう。」
「そうだね、じゃあゴミは俺がまとめて学校のゴミ捨て場に持っていくよ。研究の続きがあるんだ。ついでだから。」
「そうか、すまない。助かるよ。」
高畑は何故か虚しくなった。山根は努力家でいいやつだ。頭も良いし、運動もそこそこ出来たと思う。山根の事を嫌う奴なんていないだろう。
高畑はその日の夜、物思いにふけっていた。
自分には夢がある、がしかし自分の夢を他人に話したら、笑われるに違いない。『ヒーローになりたい』なんていい大人が言っていたらバカにされるにちがいない。同級生の山根はすでに新聞にも大きく取り上げられており、大手企業や研究所から引っ張りだこだろう。
自分は何をしているんだろう…
いろいろ考えているうちに、高畑は眼鏡も外さずに眠りについていた。