高畑少年とメタルと赤い人と
「うわぁぁぁーん!」
高畑少年の悲鳴が響く。彼は近所で有名な野良犬、通称メタルに追いかけられていた。必死に逃げる少年、追いかける犬。
「ガルルルル」
気づけば逃げ場のない路地の突き当たりに追いやられていた高畑少年。犬は刃物のような牙を光らせながら、一歩一歩少年少年を追い詰める。
もう終わりだ。
少年は全てを悟ったように目をつむる。
「キャンキャン!クゥーン…」
甘えたような犬の鳴き声が聞こえる。ゆっくりと目をひらくとそこには尻尾を振りながら赤い人に飛びかかっているメタルがいた。
「少年よ、もう大丈夫だ。安心したまえ。」
メタルを手なずけた赤い人は白い歯をキラリと輝かせて、そう言った。そしてメタルと共に少年の前から去っていこうとした。
「まって!赤い人!」
「…」
赤い人は黙って振り返る。
「ぼくも赤い人の仲間にしてよ!どうやったら仲間になれるの?赤い人、かっこよすぎるよ。」
「仲間になりたかったら、勉強も運動も一生懸命努力し、ご飯をしっかり食べるんだ。あ、親孝行もわすれるな。そうすれば必ずスゴスギンジャーの仲間になれるだろう。」
赤い人は再びメタルと歩き始めた。
なんだろう、心が踊る…
この出来事により高畑少年は正義の味方を目指すようになった。