表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

チョロインね

 気付けば先ほどの音楽は鳴りやんでいた。

 百菜は静かになったと気分を良くしながら目的の場所に向かう。

 浩斗と打ち合わせした場所は、別校舎の裏。

 

 それも授業中。

 人がいるとは思えない時間だ。


「後は浩斗の働き次第だわ」


 百菜は呟き、茂みの中に隠れる。

 おそらくはあちらの方向から来るだろうと推定して、私は先ほど手に入れたアイテムであるスコープを覗く。

 どうやらこのスコープには当たった場所のダメージが硝子部分に表示されるらしい。

 そう思って隠れて様子を見ていると、浩斗が鮫島君もといチャラ男を呼んでくる。

 それとともに先ほど消えたと思った耳障りな音楽が聞こえてきて、百菜は顔をしかめる。

 何でこんな時にとそう思っていると、チャラ男が笑った。


「それで俺を呼びだして暗殺する気か?」


 そう投げかけられて、百菜はびくっとする。

 どうして計画がばれていたのかと浩斗を見やるが、彼はすぐ様チャラ男から距離をとった。

 ばれてしまったのなら今すぐここから引き金を引くと私は思ったが、


「……ひけない?」


 まさか見ず知らずの人間と恋に落ちないように直截な戦いがないといけないとでもいうのかと、百菜は舌打ちしたい気分になる。

 仕方がないのでがさりと音を立てて茂みから百菜は姿を現して、


「良く私が隠れていると分かったわね」

「当然さ。面白そうな二人組がいたから、ずっと付けていたからね」

「何時から?」

「図書館に立ち寄って君達が逃げて行く所からだ。そして俺が弱そうだとターゲットにしている話も知っている」


 どうやらそこそこ前から様子見されていたようだ。

 まさかそれで音楽が流れたままだったのか……百菜は嘆息する。

 けれどすぐに思考を切り替えて、百菜はすぐさまそのチャラ男の基本スペックを確認する。


 フルネームや身長、性別、血液型はさっと流して、お金持ち設定も放っておいて、能力、プレゼント爆弾と付随効果“口説く”を確認。

 けれど周りには女子生徒の姿はない……百菜がそう思った所で、チャラ男が、


「わざわざこの俺が君達の罠にかかると思っているのかい? みんな来てくれ!」

「「「「「はーい!」」」」」


 女の子達の声がして、一斉に草むらから現れた。

 何時の間にか潜まされていたらし。

 軽く見積もっても二十人はいると、百菜が面倒な事になったわと思っているとそこで女の子の一人が、


「あー、あいつ、私の彼氏を寝取った泥棒猫!」

「本当だわ! 私の彼氏を寝取った奴!」


 次々と声が上がり彼女達が鬼のような形相で、女装少年な浩斗を睨みつける。

 浩斗はそれに気付き一歩下がり、


「百菜、後は任せた!」

 

 浩斗はその場を逃げ出した。

 そしてチャラ男の集めた女の子は全て浩斗を追いかけて行く。

 貴方の犠牲は無駄にしないわと百菜は思ってからすぐに半眼になり、どれだけ女の子の彼氏を寝取っているのよ、確かに姿は女の子っぽくて可愛いけれどと嘆息してから、


「それで、女の子達はいなくなったけれど、貴方に勝ち目はあるのかしら」

「ふん、それだけが俺の実力だと思うなよ、かかってこい!」


 随分とチャラ悪は自信があるようだ。

 そう思いつつ百菜はチャラ男に向かって自身の恋愛武器、“機関銃”で応戦するが、その攻撃をチャラ男は手で跳ね飛ばした。


「! 全てを防いだ?」

「なんだ、この程度の威力の魅力、しかも数で押さなければ攻撃できないとはね。子供だましの力だ」


 どうやら恋愛に対する耐性というか防御が異様に強いらしい。

 チャラ男とはいえ、女の子に囲まれ口説きなれ、憧れの的なのだからちょっとやそっとでは落ちないのかもしれない。

 逆に百菜はといえば、


「……チョロインね。でも、負けるつもりはない!」


 そう叫んで、私は至近距離ならばもう少し威力が増すだろうと思い駆け出す。

 そこでチャラ男が、


「近くに来れば勝てるとでも? 思い上がりも甚だしいな。行くぞ! プレゼント爆弾!」


 同時にチャラ男が白い箱にリボンをかけたプレゼントのようなものが投げられる。

 それは私のすぐ傍に落ち、ふたを開けて腕時計が飛び出してくる。

 けれど興味のない私はそこから避けるように跳ね跳ぶが、その腕時計がポンと煙を上げて爆発する。


「ふむ、腕時計では足止め出来ないか。ではこれでどうだ!」


 そう言って今度はアクセサリーやら何やらを投げてくる。

 おそらくは女の子の好きそうなものをピンポイントで選んで攻撃してきているのだとは思うのだが、それらを私は無視して走る。

 とりあえずスコープを覗くと、首の辺りが特に弱いようだった。

 けれどあの位置は、腕で容易に防御されてしまう。


「懐に入り込むしかないか」


 そう思って、一か八か駆け出した所で、


「では、これでどうだ!」


 そう言って放り投げたプレゼント爆弾から、百菜が好きなマンガ本が現れて、百菜は一瞬釘ズけになる。


「……落ちたか」


 そんなチャラ男の声が聞こえて、その漫画本に魅了されたらしい百菜に近づいてくるチャラ男。

 とどめを刺しにきているのだろうがそこで百菜は笑った。


「残念、あれは全部私、持っているの」

「何だと! あっ!」


 そこで防御をかいくぐるように百菜は機関銃を向け、引き金を引く。

 目指すは彼の一番の弱点。


 こうして百菜は、強敵の攻略対象の一人を倒したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ